広島を中心にスーパーマーケットを展開している株式会社フレスタは、残業時間が少ない社員にボーナスを上積みする制度を導入している。直近3か月間の平均残業時間が20時間以上だと0円、2時間以内だと20万円を上積みするようだ。
人事総務部長の渡辺祐治氏は残業代を減らそうとしたとき「残業代を生活費にしている人もいる。『これでは生活が成り立たない』という声が出てきた」と不満を訴える社員が多く、この制度を導入するに至ったと口にする。
また、半導体部品の加工機械を製造する株式会社ディスコは、昨年7月から残業時間が少ない場合、残業代を増やす仕組みを導入した。残業時間が45時間以内だと残業代の割増率を40%にし、45時間超えると割増率が40%から減少していく仕組みだ。
社長の関谷一馬氏は「残業すれば稼げるという環境は、働き方改革の方向と逆。『長時間残業は損ですよ』という仕組みを作れば、知恵を出して残業を減らしながらアウトプットは維持することを本気で考え始める」と強調。残業することがデメリットになる環境を作ることで残業を減らすねらいを口にした。
ネットでは「残業代で生活を成り立たせるのが普通と思っている日本は狂ってる」「残業代に頼ってるのがそもそも間違い」「残業がなくなると生活が苦しくなるって恐ろしい国だな」と“残業代ありき”の生活を強いられている日本の労働環境の悪さを疑問視する声が多く寄せられた。
基本給の低さを残業代でカバーする人は多くいる。働き方改革を推進するため、単に残業時間を減らそうとしても、社員は効率的な働き方を実践しようとは思わないだろう。残業時間削減のメリットを社員に提示できなければ、効率的な働き方を意識するのは難しいのだ。
企業は、単に残業を減らし「残業代をカットできて良かった」と満足するのではなく、浮いた残業代の使い道を真剣に考えてほしい。