天下分け目の選挙戦の火ぶたは切られているというのに、ノコノコと洋画の試写会に出てくるのは余裕の表れか。ハリソン・フォード主演最新作「正義のゆくえ ICE特別捜査官」の特別試写会にゲスト出演した邦夫氏は、左手中指をすっぽり包帯で覆った痛々しい姿で報道陣の取材に応じた。
映画はアメリカの移民問題をリアルに描いた社会派ドラマ。移民局に勤めるハリソン・フォードがさまざまな社会問題に正義を貫き立ち向かっていく。しかし、映画以上に国民が気にしているのは邦夫氏自身の“正義のゆくえ”だ。「かんぽの宿」問題に揺れる日本郵政・西川社長の続投にあくまで反旗をひるがえし、信念を貫いた結果が逆に首の皮一枚の麻生政権に最後の鉄槌を加えた。自民党内からは「この大事な時期に」とKYぶりを非難する声も上がった。
それ以降、盟友だった麻生首相とはケンカ別れに近い状態となり、来たる選挙戦では離党や先に自民党を飛び出した渡辺喜美氏らとの電撃的新党結成まで噂される。しかし、当の本人は「現状の小選挙区制は寄らば大樹の陰となってしまっているでね。中選挙区ならやったのに」とアッサリとこれを否定。
その一方で「選挙理念をハッキリうたったものは作っていきたい」と、「1つの党にマニフェストは1種類」と語る麻生首相に真っ向勝負の構えをみせた。
次第に調子の出てきた邦夫氏の批判の矛先は、兄・鳩山由紀夫民主党代表に向けられた。「(兄は)史上最大の虚偽記載をやった人。ウソで固めた書類を出すのは正義ではない」とバッサリ。政治家には珍しく言いたいことをそのまま言ってしまうのは邦夫氏のスタイルであり、同時に麻生首相を最後まで苦しめた原因でもある。
そんな邦夫氏の左手中指には包帯が…。なんと総務大臣を辞める前に深夜自宅前に集まった記者らに得意の料理を振舞おうとしたら、酔っ払ってツメと指がぶっ飛んだのだとか。「こんな目に遭うまでしたのに、どこの新聞社もこのこと書いてくれないんだよね」と苦笑い。人情味あるマスコミ対応が招いた事故だったことをアピールした。白熱の選挙戦はまだ始まったばかりだ。(関)