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「実はまだ採用したい」企業の本音? 卒業直前の就活にチャンスも

 実は先日、中小企業の採用活動のコンサルを行っているSさんと一緒に食事をする機会があった。そこでこんな話を聞いた。

 今年、多くの企業がおおきく採用を絞込んでいる。学生側は非常に苦戦している。けれど、実は苦戦しているのは、学生側だけではなく、採用側も同様なのだそう。採用を行う側としても、今年の採用活動は非常に苦労しているのだというのだ。

 …あれ、企業からしてみれば、いまって買い手市場なんじゃないの?

■中小企業で新卒に内定を出すのが難しい理由

 多くの人が知っているとおり、今年の大学新卒の就職率は急激に冷え込んでいる。今年の就職率は60.8%で、実に4割もの大学新卒が就職できなかった計算になる。さらに、就職留年や職が見つからず進学した学生の数を思えば、事態はもっと深刻かもしれない。

 だが、企業とて、人が欲しくないというわけではないとSさんは言う。
 「中小企業にとって新卒採用の何がつらいか。それは、優秀な人材を手に入れるためには、早期化している採用活動のスケジュールに合わせなければならないことなの」

 確かに新卒採用のスケジュールはとても早い。優秀な若者を確保するため、多くの企業が採用活動の時期を以前より前倒ししている。企業が内定を出すのは、その学生が就職するおよそ一年前ということになる。

■採用活動は厳しい

 「毎日jp」の「就職採用活動:正常化へ合意前倒し 文科省が大学に通知」(http://mainichi.jp/life/job/news/20100915k0000m040059000c.html)によれば、

 「文部科学省は14日、12年3月卒業予定の大学生の就職採用活動の正常化へ向け、大学側の『申し合わせ』と企業側(日本経団連)の『倫理憲章』を尊重することで双方が合意したと発表した。卒業学年に達しない学生の選考活動を自粛することなどが柱で、同省は合意内容などを各大学に通知した。昨年の合意は10月20日だったが、学生の就職状況が厳しく、正常化を促すため締結が早まった」

 それほどまでに「異常」といえる就活戦線が存在しているのだということだ。

 企業は優秀な学生を取るために採用の早期化を行っている。そしてそれゆえに、学生にとっても企業にとっても採用活動が苦しくなっている。
 この合意はその状況の改善に向けたものだが、おそらく一朝一夕には改善しないだろう。

■新卒を採るためには、一年も先の見通しが必要になる

 「これだけ景気の波が激しい中で、特に中小企業にとって、一年先に必要な人材を一年も前に入社させる約束をするというのは、結構しんどいことなの」

 −−なるほど。ということは、みんなが就職活動をしているあいだに、働くためのスキルの習得に励んだり、勉強したりして、その成果をかたちにして、大学卒業直前くらいに中小企業の門を叩くのってもしかしてありなんじゃないですか?

 「ありあり。勿論、ありよ。新卒を採用したくても採用スケジュールの都合でを控えざるをえなかったりして、中途のみの募集になってしまう中小企業は実はあるの。そういう会社にとって、卒業間近の若者が自社の扉を学生側から叩いてくれるって言うのは、結構うれしいものなの」

■でも、中小企業って安定していなさそう?

 だが、かつて安定していると言われた大企業とていつ潰れるか分からない時代だ。
 10年前にはもっとも安定した職場として、高いステータスを誇った銀行も、次々と破綻している。新聞社、出版社、地方自治体、果ては政権すらも次々と新しい世代にバトンを渡していく時代である。
 10年後、大きく成長している会社は、今は小さな企業かもしれない。

■鶏口となるも牛後となるなかれ

 「鶏口となるも牛後となるなかれ」という言葉を知っているだろうか。
 牛が倒れるのにも巻き込まれない強い鶏を育てればいい。そんな考え方も、必要かもしれない。将来、金の卵を産む鶏を探したいものだ。(久家雅博)

【参照】非モテタイムズ
http://himo2.jp/

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