2日の初戦は、人的補償でジャイアンツからベイスターズにやって来た平良拳太郎が、ジャイアンツのエース・菅野智之相手に、昨年に続き投げ勝ち、古巣に強烈な恩返しを果たした。次戦は、先発に戻った石田健大が、切れのあるボールでジャイアンツ打線を翻弄。スペンサー・パットンの乱調で一度は同点に追い付かれるが、8回相手キャッチャー岸田行倫のパスボールが決勝点となり、連勝を飾った。最終戦は中9日と、満を持して登板の今永昇太が悪いながらも5回1失点で堪え、バトンを繋いだ中継ぎ陣も好投。3-2のスコアでカード3連勝を決めた。
特に印象的だったのは、3戦目のヒーローとなった石川雄洋。ベイスターズ一筋の15年目のベテランが、大事な場面で自身1000本目のメモリアルスリーベースをかっ飛ばし、さらにホームまで生還。これが貴重な決勝点となった。
ベンチでは祝福に溢れ、ホセ・ロペスやネフタリ・ソトは敬意を表し、両手で握手。横浜高校の後輩・筒香嘉智とは熱い抱擁を交わしていた。ヒーローインタビューでは「とても嬉しい」と第一声。「優秀なスタッフや大好きな先輩後輩。僕は人に恵まれている。ファンにも感謝」と人柄がにじみ出るコメントでスタンドを沸かせた後、「これからもチームのために、仕事をしっかり」「チーム一丸となって優勝目指して、一生懸命やるだけ」と、しっかり大目標へ向けての決意も口にした。すると、ベンチから「たけひろおめでとう」とプレート付きのケーキを持って筒香嘉智が登場。「おめでとうございます」の言葉を贈り、ナインも集まっての記念写真も行われた。
ラミレス監督も「ベリーハッピー!(1000本目の)ヒットは意味のある大きいもの。ハードプレーして1000本キャリアを積み上げた。嬉しく思う」と、ベテランに賛辞を贈った。
いわゆる“暗黒時代”のベイスターズを支えて続けてきた石川。チームは最下位が定位置の時代、閑散とするスタンドからは容赦ない罵声も飛んだ。しかし、近年の満員のスタンドからは温かい声援ばかりで、ヒーローインタビューの際には涙するファンも多く見られた。入団してから未だに栄冠掴むその日は訪れていないが、今年の秋には念願が叶うことを願っている。
取材・文・写真 / 萩原孝弘