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『大切なことはすべて君が教えてくれた』最終回、面倒臭いキャラの大団円

 フジテレビの月9ドラマ『大切なことはすべて君が教えてくれた』の最終回である第10話「結婚」が、3月28日に放送された。別れる必要のないカップルが別れてしまうなど面倒臭い展開が続いたドラマであったが、最後は驚くほど爽やかなハッピーエンドであった。

 佐伯ひかり(武井咲)が柏木修二(三浦春馬)に「私達って面倒臭いね」と語ったように主要登場人物達は面倒臭かった。修二は、ひかりに「君を愛していない」と言う。上村夏実(戸田恵梨香)は「私は修二の隣に居る私が好き」と言う。この言葉が最初から出ていたならば、もっと早くドラマは終わることができただろう。
 最終回の前半は夜行列車内での柏木修二(三浦春馬)と佐伯ひかり(武井咲)も会話が中心である。ヒロインの夏実抜きで展開する異様な最終回であるが、たまたま同じ個室となった酔っ払いの乗客(尾藤イサオ)が心に響く話をする点でも意表を突かされた。「大切なことは酔っ払いが教えてくれた」状態である。

 後半は、ひかりと両親、水谷亜弥(内田有紀)と娘の関係、加川涼子(広瀬アリス)や児玉賢太郎(中島健人)の恋など脇役の物語にも駆け足で光が当てられる。登場人物が皆各々の幸せに向かって歩いていく大団円となった。
 中でも、ひかりに思いを寄せる児玉が爽やかである。児玉は旅先のひかりから鉄道の写真付きメールを受け取り、嬉しそうに園田望未(剛力彩芽)に見せる。彼が嬉しい理由は珍しい鉄道の画像が送られたからでも、ひかりからメールを受け取ったからでもなかった。ひかりが行きたかった場所に無事に到着したことを確認できたからであった。ここには相手の喜びを自分の喜びとする純粋な愛情がある。

 『大切なことはすべて君が教えてくれた』の特徴は登場人物が皆善人で、悪人がいないことである。当初は、ひかりがカップルの幸せを破壊する悪女に演出されたが、親の愛も十分に受けられない不幸な少女であった。修二の兄の柏木孝一(新井浩文)も最初は裏がありそうな役であったが、その後は良い兄貴になった。同僚の教師達は主人公の理解者であり、生徒達も真っ直ぐであった。
 ドラマを作る上では悪役がいた方が簡単である。悪役が悪事を働けば物語に起伏が生まれ、主人公の立ち位置も明確になる。そのような安易な道を選ばなかったために、主人公の揺れ動きがドラマになり、面倒臭い展開になったが、登場人物の皆が収まるべきところに収まることで爽やかな感動をもたらした。
(林田力)

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