阿部が節目の一発を放った後、「次は岡本の番」とさらなる躍進を期待したファンも少なくなかったはずだ。
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王貞治 868本
長嶋茂雄 444本
阿部慎之助 400本
原辰徳 382本
松井秀喜 332本
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巨人の通算本塁打ランキング上位は、以上の5人(松井のMLB記録は除く)。高橋由伸・321本、柴田勲・194本、清原和博・185本(在籍時のみ)、川上哲治・181本、中畑清・171本、クロマティ・170本と続くのだが、右バッターは4人だけ。生え抜きの長嶋、原、中畑の3人に至っては、「ホームラン40本」に達したシーズンが一度もないのだ。
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長嶋 39本(1968年)
原 36本(86年)
岡本和真 33本(2018年)
中畑 31本(84年)
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埼玉西武の中村剛也、山川穂高、DeNAで現役を終えた中村紀洋、往年の田淵幸一、山本浩二など、他球団には「シーズン40本強」を放った右のホームランバッターも少なくない。
なぜ、巨人には40アーチを達成した右バッターが出現しないのか。もっとも、移籍組では現DeNA監督のラミレスが08年・45本、10年・49本、小久保裕紀が04年・41本を在籍期間中に放っている。
また一方で、巨人に移籍して成績を落とした右バッターもいた。プロ通算525本塁打を放った清原は97年の32本が最高で、08年に横浜で46本塁打を放った村田修一は13年の25本、本塁打王2回の江藤智は00年の32本が在籍期間中の最多本塁打数となる。
85年にロッテで52本塁打を放った落合博満は、96年の21本が最高だ。年齢的なものもあったのかもしれないが…。ラミレス、小久保が40本以上を放ったのだから、「右バッターは不利」とは断定できない。まして、巨人の本拠地・東京ドームもホームランの出やすい球場と認識されている。
「ひと昔前まで、どの球団も巨人戦では、必ずエース投手をぶつけていました。エースとの対決ともなれば、成績が落ちたとしても仕方ありません」(プロ野球解説者)
右、左の違いを抜きにして、エース対決を制して40本以上を放った王、阿部、松井の3人を素直に褒めるべきか…。
第89代巨人4番バッターの岡本には、ファンは「新しい歴史」を作ってもらいたいと願っているはずだ。昨季は史上最年少での「打率3割(3割9厘)、本塁打30(33本)、打点100(同)」を達成した。当然、ライバル球団は岡本封じの研究を進めており、今季、本塁打を量産できないのはその影響だろう。
右打者・岡本は400号アーチを放った阿部を見て、どんな思いを秘めたのだろうか。
(敬称略/スポーツライター・飯山満)