プロ4年目の2010年に自己最高の31本塁打をマークするも、それ以降は毎年20本前後の本数に留まっていた坂本。脇腹痛による離脱があった昨年(109試合出場)も、打率はキャリアハイ(.345)ながら本塁打は18本とほぼ例年通りだった。
しかし、冒頭で述べた通り、今シーズンは2日終了時点(51試合出場)で早くも昨年の本塁打数をクリア。また、好調なのは本塁打数だけではなく、打率(.340/3位)、打点(41打点/1位タイ)もリーグ上位の数字を叩き出している。
原辰徳監督のもと、2014年以来のリーグ優勝を目指している巨人。その悲願の達成に、円熟の時を迎えつつある30歳の活躍は今後も必要不可欠だ。
ここまでの坂本の本塁打ペースは1試合約「0.37」本。もちろん、今後の戦いの中でペースが落ちる可能性もあるが、仮にこのまま行くと、その数は40の大台を軽々突破する計算になる。
過去に40本塁打を達成したショートは、1985年の宇野勝(中日/41本)のみ。今シーズンの坂本が40本をクリアすれば、球界では34年ぶり2回目の偉業が現実のものとなる。
一方、所属チームである巨人に当てはめると、40本塁打クリアは史上初の出来事となる。坂本は入団から現在まで、チーム一筋の生え抜き右打者だが、過去にこの括りで、40本塁打をクリアした巨人の生え抜きはゼロ。長嶋茂雄や原辰徳といった右のスラッガーたちも、前者は最高39本(1968年)、後者は36本(1986年)と40本には届いていない。
「打率.350・7本塁打・15打点・35安打」で4月の月間MVPを受賞し、「打率.327・10本塁打・22打点・32安打」をマークした5月も候補選手に名を連ねるなど好調を長くキープしている坂本。以上に挙げた2つの記録も、十分に射程圏内といって差し支えはないだろう。
文 / 柴田雅人