原巨人が阪神に連敗した。これで、5月の負け越しも決まった。4月は首位で終えたが、早急にチームを建て直さなければ、「優勝圏外に転落」なんてことにもなりかねない。
「セ・リーグ球団は交流戦が苦手。6月4日にはその交流戦が始まりますし、チームが不安定なままに苦手な交流戦に突入すれば、致命的です。着手すべきは、まず先発投手陣でしょう」(プロ野球解説者)
エース菅野智之が腰痛により、戦線を離脱した。出場登録を抹消された5月21日時点では、宮本和知投手総合コーチらが「早期の復帰」を伝えていたが、「復帰は交流戦突入後」と“訂正”している。意味シンなのは同コーチが一部メディアに話した「先は長い。彼の今後の野球人生を考えても中途半端に呼びたくない」の言葉だ。
「今後の野球人生という『重い言葉』が出たので、驚きました。故障の詳細が公表されていないので憶測でしかありませんが、長期離脱もあり得るのではないか」(前出・同)
菅野の復帰が先送りしたとするこの発表には、カラクリがあった。
「復帰が遅れる」と発表されたのは、5月28日。同日から阪神3連戦が始まり、巨人は6月2日までの6連戦を戦うスケジュールになっていた。ルール上、菅野の再登録が可能となるのは、最短で5月31日。また、巨人は菅野の登録を抹消した時点で先発タイプの投手を一軍に補充していない。そのため、先発要員は5人しかいない。6連戦を戦う上で、6人目の菅野が帰ってこないとなれば、1人足らなくなる。
「先発投手が足らないとなれば、巨人ナイン全体に『大丈夫か?』という心配が蔓延します」(スポーツ紙記者)
しかし、28日の阪神戦は雨天中止となった。雨天中止により、6連戦が5試合に減った。計算上、現先発陣で乗り切れる。「今なら、チームに悪影響は出ない」と判断し、菅野の復帰先送りを発表したのだ。
大型補強に成功した巨人が先発投手の頭数を懸念するのは、おかしな話。とはいえ、こんな情報も聞かれた。
「渉外担当が新しい外国人投手を探しています。リリーフタイプ、クローザーが務まる外国人投手を緊急獲得するつもりで動いています。救援タイプの投手を探していたのは、『先発投手は問題ナシ。菅野がいる』ということが大前提でしたから」(球界関係者)
今さら、緊急補強する外国人投手を先発タイプに変更するわけにもいかないだろう。
「菅野の復帰先送りが発表された2日後の30日、二軍調整中の岩隈久志が練習のピッチを上げてきました。38歳、経験豊富なベテランが菅野不在のピンチを救ってくれたら、理想的なんですが」(前出・同)
目下、ヤクルトが大型連敗に苦しむ少し前はDeNAがドロ沼の連敗街道に陥っていた。仮に巨人がこのままズルズルと順位を落としていけば、セ・リーグの関東球団は“総崩れ”となってしまう。
巨人ナインが上原の引退を話題にしている。年齢的な衰えは上原自身が口にしていたので「まだやれる。引退撤退を…」とは言えない。だが、生え抜きの上原なら、菅野不在の不安も一掃してくれるような『喝』も入れてくれたはずだ。岩隈が6人目の先発枠を務めたとしても、今の巨人には決して埋まらない不安要素があるようだ。
(スポーツライター・飯山満)