20年ほど前、ブームが爆発していたころには、店舗前に100人近くが行列待ちし、入店に1時間や2時間待ちはザラだった同店。現在はブームも下火となっているというが、ネットニュースやツイッターのつぶやきなどで閉店を知った客が次々訪れ、4日の日曜も開店直後は昔のような長い行列ができていた。
ブーム当時を知るラーメンファンは「開店当時、東京で九州風の豚骨ラーメンを提供する店は数店しかなかったんですよ。九州出身者は東京で頼むと出てくる醤油ラーメンに物足りなさを感じていた。そこへ博多・中洲のラーメン屋台もそのままの豚骨スープの店が出てきた。モノ珍しさもあってか、とくに宣伝をしなくても口コミで伝わって、すぐに繁盛店になったんです。関東出身の客にも一度食べたら忘れられないスープの味にリピーターも増えていきましたね」と語る。
日本テレビ系の番組「マネーの虎」出演で全国区の知名度も得た同店の川原ひろし社長は「閉店の発表はギリギリまでしなかったんだけど、先月の終わりにホームページで発表したら有吉くん(有吉弘行=お笑い芸人)らがツイッターでつぶやいてくれたり、周りの人たちが惜しむ声を寄せてくれたりと非常に感謝しています」と語る。
突然の閉店は何があったのか? 経営不振? 川原社長は「突然だったけどね発表は。でも、かなり以前からこのお店の展開を含めて考えていたんだ。『なんでんかんでん』は東京で豚骨ラーメンのハシリとして定着し、多くの豚骨ラーメン店が追随して増えた。もうどこに行ってもあるでしょ? その意味では開店当初、東京にトンコツ味を広めるという“布教活動”は役割を終えたかな、とね。でもラーメンに対する熱意は変わってないよ」。川原社長によると、現店舗の賃貸契約が切れるのもきっかけのひとつになったようだ。
「来年の2月をメドに都内に新店舗を構えようかと思うんだ。今年は海老名(神奈川)にフランチャイズ店舗ができたし、12月には山口にもオープンするんだ。そこにちょっとチカラを入れつつ、年明けにも動こうかと。この業界には1月に開店した店は続かない(繁盛しない)という“ジンクス”みたいなのがあってね(笑)。だから2月」(川原社長)。浮き沈みの激しい食品業界で25年ものあいだ生き抜いてきた社長だけに、説得力はあった。豚骨ラーメンで一時代を築いた男が、これからどんな展開を見せるのか? ラーメンファンではなくても楽しみなところだ。