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阪神・鳥谷、ロッテ移籍寸前まで近づいていた? 親交の深い井口監督の打診、あの選手の存在が障壁となったか

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鳥谷敬

 その一報には「ウラ」が隠されていた。クライマックスシリーズ・ファーストステージでの敗退が決まった直後だった(10月8日)。東北楽天ゴールデンイーグルスの内部から、ベテランの今江年晶内野手(36=本名は敏晃)が「来季の戦力外であること」が漏れ伝わってきた。

 今江は2015年オフに海外FA権を行使したが、その後、国内の楽天と交渉。今季は右目を患ったため、出場試合数は「26」と少なかったが、「まだやれる」というのが周囲の評価である。

 「コーチ就任を同時に打診されていましたが、本人の現役にこだわる気持ちが強く、退団となるようです」(地元メディア/同時点)

 しかし、シーズン終盤戦以降、「あるウワサ」も流れていた。唐突ではあるが、同じく今季限りで阪神を退団する鳥谷敬(38)の話だ。

 「鳥谷が現役を続けるとしたら、その移籍先として有力視されていたのは、千葉ロッテだったんです。井口資仁監督(44)とは親しく、その関係は鳥谷の学生時代から続いています。鳥谷が早大生だったころ、国際試合対策の一環で、有望な学生球児がプロ野球キャンプに派遣されていました。鳥谷はダイエー(当時)のキャンプに派遣され、走攻守3拍子の揃った井口に憧れ、プロ入り後も一緒に自主トレをやってきました」(ベテラン記者)

 井口監督は鳥谷に救いの手を差し伸べるつもりでいたようだ。関係者によれば、井口監督は「鳥谷獲得」を球団に実際に打診したという。

 しかし、球団は首を縦には振られなかった。その理由が「他のベテラン選手の獲得を考えている」からだというのだ。この時点で、千葉ロッテフロントの検討している「他のベテラン選手」は“推測の域”を出なかったのだが、ここに来て、「それが今江だったら、合点がつく」となったのだ。

 今江がFA権を行使した15年オフを知るプロ野球OBが当時の様子をこう説明する。

 「当時は『宣言残留は認めない』というのが、球団の方針でした。他球団の条件提示を聞き、比較されるのは面白くない、と。また、他球団の提示を、残留条件の釣り上げの材料にされたら困るとしていました。今江選手はそんな駆け引きをする人ではありませんが、FA宣言したとき、ロッテとの決別も覚悟したんです」

 ロッテフロントも今江に悪い印象は全く持っていない。おそらくだが、「将来の指導者候補」という含みもあって、現役生活を全うさせてやりたいと思っているのではないだろうか。今江は主にサードを守ってきた。鳥谷はショートなのでポジションはかぶらないが、「若手のお手本」は2人もいらない。

 ドラフト会議で大学、社会人の即戦力内野手の指名に成功した場合、この話そのものがなくなってしまう可能性もある。いずれにせよ、厳しい状況に置かれたのは鳥谷だ。

 新聞紙上では「今江」と書いてあったが、「鳥谷のことが報じられている」と直感した関係者は少なくない。(スポーツライター・飯山満)

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