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2012年夏の高校野球特集 大会を根底から変える(?)少子化問題

 今年と来年は『節目の大会』になる−−。

 今夏の第94回選手権地方大会は、大きなルール改定が行われた。部員不足による連合チームの参加に関する規制を大きく緩和された。そもそも、この『連合チーム』の制度がクローズアップされたのは、昨夏。東日本大震災で転校や部員数の減少等で大会出場が危ぶまれた高校を“救済”するために、特例措置としてこの制度が使われた。

 日本高野連の説明によれば(5月24日の理事会)、昨年度は公式戦を2大会以上も棄権している高校が全国で96校もあったという。高野連は『連合チーム』に関する規定を緩和し、大会に出場できるようにしたのだ。
 理由は『少子化』に尽きるが、激戦区の1つである東京都も難しい選択を迫られている。東京都の『加盟校責任教師会議』で、「東西の格差」が議案に上げられたのは、5月26日だった。東京都は「東」と「西」に分けて甲子園代表校を争っているが、現在の地区割では「東=151校」に対し、「西=120校」。「約30校の格差を解消すべき」として、来年夏から地区割の線引きを変えることになった。
 「(東西の学校数の違いは)同数か1ケタにしたい」(武井克時理事長/加盟校責任教師会議後)
 東京都が東西に代表校を分けるようになったのは、74年。その際、「東東京」に区分された世田谷区の高校を再び「西東京」に戻すか、豊島区と板橋区を「西東京」に移すなどの具体案が同会議で出たそうだが、結論は出なかった。後者の「豊島区と板橋区」を西に移行させる案が採用された場合、甲子園の歴史に“注釈”が書き加えられることになる。板橋区には春夏通算3度の全国優勝をなし遂げた帝京高校がある。2012年以降に栄冠を勝ち取れば、「但し、89年夏、92年センバツ、95年夏は東東京代表で全国優勝」なんて注釈が書き加えられる…。
 大会パンフレットによれば、世田谷区内の高野連加盟校は20校。豊島区11校と板橋区10校を合わせて21校。世田谷区か、「豊島区と板橋区」を「西東京」に移行させれば、学校数の格差は解消される。
 「各理事が意見を持ち寄り、これから具体的に考えて行くか、現在の(東西の)境界線に隣接する区や市の入れ替え、移動が対象になってくる」(武井理事/同)

 東京都は来年夏から「新しい東西区分」による大会を実施する。東から西に編入されたからといって、甲子園出場の可能性が高まるわけではない。しかし、ある東東京の学校関係者は「西東京の学校のデータをゼロから集め直すとなると…」と“不安”を口にしていた。西東京の古豪校職員も「帝京(高校)さんがこちらに来るとなると、確実に勢力分布図が変わる」と話していた。話を聞けた限りでは、肝心の球児たちは「どちらでもいい」という言い方だったが…。少子化は約100年の高校野球大会の歴史を変えようとしている。(スポーツライター・美山和也)

※東京大会が東西に区分された1974年、世田谷区の高野連加盟校は21校でした。

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