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競輪人国記 京都(6)

 村上義弘の弟博幸(86期)と稲垣裕之は同期のライバルで、練習仲間でもある。村上は29歳、稲垣は32歳と年の差はあるが、85期の適性組で試験に落ち、86期の適性で合格した。稲垣は父親が舞鶴の海上自衛隊に勤めていた関係から海上自衛隊に入り、途中から千葉・館山の航空隊にいた。
 85期に落ちたものの、競輪選手に魅力を感じていた稲垣は、自衛隊の上官の許可を得てスーパーマックスを置かせてもらい、体力増強に心がけ、86期で合格した。
 先行、まくりの稲垣と自在の村上。稲垣には素晴らしいダッシュ、村上には自分の展開に持ち込むしぶとさがある。

 稲垣は平成19年の松阪ふるダビでバック4番手からまくって長塚智広(茨城)とのまくり合戦に快勝。村上も同年の地元・京都向日町で共同通信社杯を制した。
 特に村上の気合はすごかった。準決で武田豊樹(茨城)のまくりばなを抑えて自力まくり。決勝は武田に付いた室井竜二(徳島)の3番手から山崎芳仁(福島)の仕掛けにあわせてまくった。
 一方、稲垣は山崎キラーとしても有名で、山崎をまくりの展開に持ち込んでは不発に終わらせている。
 この同期コンビが来年のGI、GIIで活躍することは間違いない。スタートをとって有利な位置をキープする村上、その村上を引く稲垣、稲垣がいれば村上義弘も同じレースをする。来年はデビュー8年目、キャリアを積んで北日本ラインを完封する気迫も十分。目標はG1優勝、その願いが達成される日は近いだろう。
 いままでの追う立場から後輩の88期や90期台のチャレンジはあるが、それがかえって刺激になるはずだ。

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