昨年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本代表としてメジャーリーガーたちと戦ったことが、メジャーへの関心を高めた契機になったことまで明かしている。さらには、巨人・ラミレスの「松坂もいい投手だが、それよりも速い球を、いいコントロールで投げられる」という証言まで取り上げている。
締めくくりは、母・郁代さんが米フロリダ州の大学留学中に、同じ大学のサッカー選手だった父・ファルサ氏と出会ったエピソードだ。ダルビッシュがメジャーに来るのは、必然だといわんばかりの記事だといえる。
実際に、ダルビッシュがポスティングとなれば、松坂の60億円ともいわれる落札金を上回るのは確実だとウワサされている。健全経営をモットーにする日本ハムとすれば、今季のダルビッシュの年俸3億3000万円は上限に近く、大義名分さえ立てば、ダルビッシュのメジャー入りを容認する方針だ。
さらに、メジャー入りを勧める父・ファルサ氏は、エンゼルス・松井秀喜の代理人で知られるテレム氏とは、古くからの親友であり、準備は万端整っている。すでにダルビッシュのポスティングでのメジャー入りは既定路線視されており、Xデーが最大の関心事だ。早ければ、今オフにも実現、日本球界を揺るがすことになる。
が、問題はダルビッシュだけに止まらないので、事は深刻だ。来年オフには、新たに楽天・岩隈久志のメジャー入りが浮上してくるからだ。昨年のWBCで2大会連続のMVPを獲得した松坂大輔(レッドソックス)が、「本当のMVPは岩隈さん。申し訳ない」と語ったほどの活躍を見せ、メジャー関係者に強烈な印象を植え付けている。
今季終了後に国内FAの資格を取得するのに、岩隈の去就が注目されないのは、訳ありだ。昨年から来季までの3年契約をしているからだ。それだから、2年目の今季は無風状態になっている。
が、来季は一気に去就問題が噴出してきて、大騒動が起こるだろう。3年契約が切れると同時に、海外FAの資格を取得するからだ。球団の了承が必要なダルビッシュのポスティグと違って、海外FAの権利を手にするのだから、岩隈本人が望めば、誰も引き留められない。
今オフにダルビッシュがメジャーへ行き、来オフには岩隈となれば、計り知れないダブルショックで日本球界は大揺れするだろう。ダルビッシュ、岩隈の2人は、ソフトバンク・杉内俊哉、楽天・田中将大、西武・涌井秀章、岸孝之といったパ・リーグが誇る日の丸エースたちのリーダーになっている。
その2人が相次いでメジャー入りすれば、杉内、田中、涌井、岸たちにも連鎖反応の恐れがある。歯止めのきかない、日の丸エースたちのメジャー流出という、日本球界にとって最悪のシナリオさえ浮上する可能性がある。