3月30日にペナントレースが開幕する。本拠地・甲子園球場を高校球児に明け渡している金本阪神は敵地・東京ドームに乗り込み、最後の調整を行っている。オープン戦最下位(2勝12敗2分け)、本塁打数はセ・リーグワーストの計7本、打線はチーム打率2割2分5厘と低迷し、投手陣も防御率3点台後半では苦しい展開となるのは避けられないだろう。何よりも、4番を予定して獲得したウィリン・ロサリオ(29)の不振が気になる。
「セ各球団はロサリオ対策をすでに完成させたと見ていい。ロサリオ自身が打撃フォームを改造するくらいの覚悟を見せなければなりません」(プロ野球解説者)
そのロサリオだが、在阪メディアに長引く不振について質問されると、「もう、大丈夫だ」と返している。その理由を聞かれると、金本知憲監督(49)の心配りを教えてくれたという。
「監督に何か困ったことはないかと聞かれたんだ。日本のベッドは硬くてなかなか寝つけないと言ったら、高級なマットレスをプレゼントしてくれた。ぐっすり眠れるようになったから、もう大丈夫だ」
こう答えていたそうだ。不振のときでも報道陣に配慮し、ネタを提供してくれる…。マジメな性格なのだろう。
「キャンプ中もこれまでの外国人選手とは違う一面を見せていました。日本のサインプレーを覚えようと必死だった。もともとは捕手なんですが、キャッチャーミットでキャッチボールをすることもありました。『何かあった場合、自分が緊急でマスクをかぶるんだ』と言って」(在阪記者)
周囲の期待に応えようとする思いが強すぎたことも不振の一因となったようだ。
“マジメさ”がアダになった選手はほかにもいる。昨季チーム最多の12勝を挙げた秋山拓巳(26)だ。今や、首脳陣が最も信頼を寄せる生え抜き右腕だ。キャンプではマイペース調整も許されたのだが、秋山から出る言葉は「自分は、まだまだ…」と“謙虚なもの”ばかり。謙虚さは大事だが…。
「キャンプ序盤から飛ばしていました。まるで実績のない若手投手が一軍の生き残りを懸けているみたいな…。完全なオーバーペースですよ」(関係者)という懸念も聞かれた。
先のプロ野球解説者もこう続ける。
「秋山は去年ブレークしました。当時、首脳陣は二軍スタッフから『秋山は一軍で活躍できる』と報告も受けていたので、計算に入れていました。その去年なんですが、一年間を通して見てみると、ボールに一番キレがあったのはオープン戦。シーズンが開幕するころには少し調子を落としていました。調子が戻らないままシーズンを終えたというか…。まあ、調子を落としていても12勝を挙げたのは立派ですが」
実績のなかった分、去年は飛ばしすぎだったとしても仕方ないだろう。秋山は今年も「自分は、まだまだ…」と謙虚になりすぎて、オーバーワーク気味のキャンプを送ってしまったのだ。「開幕が近づくにつれ、疲労も蓄積されてきている」というのが関係者の一致した見方だ。
こんな不安定な状況で、金本阪神は大丈夫なのだろうか。
「巨人選手は、ある意味で叩かれ慣れているというか、バッシング記事が出ても聞き流す度量があります。阪神も同じ全国区の人気チームなんですが…」(ベテラン記者)
プロ野球とは、人気商売だ。多少の不振で非難されても聞き流すくらいの図太さがなければ自滅してしまう。投打に不安材料を抱えた阪神はペナントレースの長丁場を乗り切ることができるのだろうか。