▽4日 後楽園ホール 観衆 1,758人(超満員札止め)
▼フェザー級(-57.5kg)3分3R延長1R
○篠塚辰樹(1R 1分16秒 KO)山川賢誠●
アマチュア時代に31戦24勝7敗という好成績を残し、プロに転向すると名門ワタナベジムに所属しA級にまで上り詰めながら、昨年10月12日に篠原武大を相手にTKO勝利を収めると、僅か4試合(3勝1敗)でボクシングを卒業。19歳という若さからプロボクサーとして将来を有望視されていた篠塚辰樹だが、昨年12月にキックボクシングへの転向を発表。同い年の那須川天心がいるTEPPEN GYMに所属し、デビューまで1か月半という短い準備期間の中で、階級が近い天心とともに練習を積み重ねてきた。
来週12日のKNOCK OUT大田区総合体育館大会で、史上最強の対戦相手と言われているスアキム・シットソートーテーウとの対戦を控える天心がセコンドで見守る中、篠塚はファンの大声援をバックに独特のオーラと色気を放ちながら堂々と入場。「キックの会場はボクシングより雰囲気が良かったです」と試合後に振り返っていたが、特に緊張はしていなかったようだ。記念すべきデビュー戦の相手は、天心の階級であるRISEバンタム級ランキング5位の山川賢誠。フェザー級の篠塚にとってはひとつ下の階級になるが、強敵だ。
1Rのゴングが鳴ると篠塚はジャブで主導権を握り、山川の前蹴りに対しても右ストレートで対応するなど、ペースを渡さない。篠塚はジャブを中心に試合を組み立てていたが、右のインローを放つ場面もあった。しかし、これがローブローになってしまい試合が中断。再開すると左右上下のパンチが的確に山川を捉え、山川が右のローを放つと、逆に篠塚の左ボディーが入り、ここが勝機と見た篠塚はパンチを連打。これには山川もたまらずダウン。山川の状態を見たレフェリーが試合をストップさせた。
試合後、天心から祝福を受けて喜びを分かち合うと、マイクを持ち「キックボクサーになれましたか?」とファンに問いかけ、次回3月24日に行われる『RISE123』への参戦と、ベルト獲りをアピールし、「フェザー級は誰がいるのかわからないけど」と挑発を交えながら、花田元誓が保持しているRISEフェザー級王座に狙いを定めた。
■篠塚辰樹バックステージコメント
−−あっという間のKO勝利だったが?
ローを蹴って来たので顔に当てやすかったなと。
−−山川の印象は?
印象は特になかったんですけど、自分ができることをやればいいと思っていたので。
−−自分ができることをどのように組み立てた?
会長、天心…みんないいサポートの中、練習を積み重ねて来たので。あとはやるだけだったので。
−−結果的には1分ちょっとでKO勝利。手応えは?
手応えは…早かったですね。もう少しいろんなことをやりたかったですが、楽しかったので。
−−マイクパフォーマンスも見事だったが?
フェザー級に誰がいるかわからないんで。とりあえず誰でもいいので強い人と試合がしたいです。
−−改めてキックボクサーに転向してみてどうだったか?
パンチでは自分が強いので、あとはキックに慣れるだけかなと。早く慣れてどんどん蹴っていきたいですね。
−−2018年の目標は?
年内にベルトを獲って。とりあえずベルトを獲りたいので、強い人とやりたいです。
−−ファンに一言。
年内にベルトを獲るので応援をよろしくお願いします。
天心と一緒にこの試合のセコンドに付いていたTEPPEN GYMの那須川弘幸会長は「すぐにチャンピオンになりますよ」と篠塚の衝撃的なデビュー戦に目を細めていた。RISEのフェザー級戦線は、チャンピオンの花田の他、森本“狂犬”義久、工藤政英ら激闘系のファイターが揃っている。特に狂犬は篠塚の試合を篠塚側のリングサイドから目を光らせながら観戦しており、黙っているタイプではない。フェザー級戦線に彗星の如く現れた篠塚のデビュー2戦目も注目だ。
キック界の新たなスターが誕生した記念すべき試合だった。
取材・文・カメラ / どら増田