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元川悦子のサッカー魔法陣

 今週、Jリーグの今季1試合平均観客数の中間発表があり、J1は1万8889人、J2は5913人で、いずれも前年比300人以上の減少となった。

 J1初昇格のモンテディオ山形が8000人近く増えたのに対し、J2降格した東京ヴェルディは8745人減。アジア王者になった昨季は約6万人収容の埼玉スタジアムが常時満員だった浦和レッズも5400人減少と苦境が目立つ。Jリーグが掲げる「年間総入場者1100万人」という目標の今季中達成も困難になった。
 観客動員が減れば、入場料収入が低下するばかりでなく、さまざまなマイナス効果が生じる。その最たるものが、テレビ放送権料だ。
 Jリーグ発足当初は、NHKを中心とした地上波放送局が放送権料の担い手だった。が、昨今の経営悪化で、テレビ局はJリーグ側が提示した巨額な放送権料を支払うことが困難になった。そこで、2007年からの5年間は、CS放送局のスカパーJSATと年間35億円(推定)で独占放送権契約を締結。地上波やBSで中継を細々と続けているNHKやTBSも数億円ずつ払っている。現在Jリーグが得ている年間放送権料は50億円超といわれる。

 次の放映権料契約交渉は今年からスタートする模様。しかし、この調子で観客動員が減れば、Jリーグの商品価値下落は避けられない。スカパーもNHKらも当然、放映権料の値下げを要求するだろう。
 そうなった時、困るのは脆弱(ぜいじゃく)な経営基盤しかないクラブだ。Jリーグは成績などに応じて各クラブに分配金を支払っており、J2にはそれを頼りに運営している小クラブも多い。分配金の原資にはスポンサー料やグッズ販売収入も含まれるが、やはり放送権料が最大の柱。この金額が減れば、クラブに回る分配金も下がり、経営破たんするクラブが出かねないのだ。
 93年の発足時から拡大路線を続けてきたJリーグ。この1〜2年のうちには、J2をさらに4チーム増やす計画だが、本当にクラブ増加一辺倒でいいのか。そろそろ現実を直視する時期に来ているのではないか。

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