武藤とは前哨戦なしの一発勝負。12日には調印式でチャンピオンと顔を合わせ「もしアイツが作戦を練ってきたら怖い」とけん制されたが「何もあらへん。不言実行」と吐き捨てるのみだった。
その言葉はこの日の闘いをみれば一目瞭然だった。8人タッグ戦で自ら先発を買って出るや大暴れ。対峙した後藤洋央紀を野人ラリアートで場外まで吹っ飛ばし、最後はアルゼンチンで稔から勝利。武藤への無言のメッセージを送り「すべては札幌や」と言葉少な。
あくまで「武藤戦だからどうとか、向こうが何か作戦があるからどうするとかないわ。こっちはなにも想定せぇへん」とノープランを強調する。鉄のカーテンを敷く裏には「去年までは相手の攻撃を受けてそれをさばく感じやってたけど、今のオレは自分から仕掛けてやってここまできた。何も考えない方がええ」という自然体の作戦(?)がある。
周囲の雑音を遮り、いよいよ本番モードに突入した野人が、初のIWGP戴冠に黙々とひた走る。