千葉ロッテのドラフト戦略は「シンプル・イズ・ベスト」でもある。90年代後半には薮田安彦(95年1位)、藤田宗一(97年3位)、小林雅英(98年1位)、清水直行(99年2位)など、後に中核となる投手を獲得。彼らの活躍・成長を受け、00年前半は、今江敏晃(01年3巡)、西岡剛(02年1巡)といったレギュラー野手候補を上位指名。その後は大嶺祐太(06年高校1巡)、唐川侑己(07年高校1巡)を獲得。唐川を得た07年のドラフトが興味深い。高校生ドラフト、社会人・大学生ドラフトの両方で7人を指名したが、全員が投手だった。09年、2010年は再び野手を1位指名している。過去10年を振り返った限りでは、「投手、野手、投手、野手」と、特定の時期にどちらかをまとめて指名する傾向も見られた。
昨年、斎藤佑樹の入札に参加したのは、渡辺俊介、小野晋吾のベテランが健在なうちに、次の主軸投手が欲しかったからだろう。早い時期に「藤岡指名」を表明したのは、こうしたチーム事情も影響している。
但し、即戦力投手の1位入札には「競合」のリスクもともなう。お目当ての『即戦力投手』を逃せば、昨年のように、実力派野手(=伊志嶺翔大)に切り換えるのか。それとも、即戦力投手(社会人・大学生)にこだわるのか…。今年は、将来性で高校生という選択肢も考えられる。
昨年2位・南昌輝(22)、3位・小林敦(25)、6位・藤谷周平(24)が、2012年の「一軍戦力になる」との見通しが立てば、『ポスト・西岡』として、東海大甲府・高橋周平内野手を上位指名できる。高橋内野手は12球団がその将来性を高く評価しており、「本人がプロ入りの意思を表明すれば、3位までに確実に指名される」そうだ。あるスカウトによれば、「昨年、地元出身(千葉県=習志野高)の山下斐紹をソフトバンクに横取りされたとき、相当悔しがっていた」という。おそらく、千葉ロッテは「2位以下で獲れる」と読み違えたのだろう。強肩、堅守、長距離タイプの大型内野手…。高橋選手を『外れ1位』に繰り上げ、2位以下で救援タイプの社会人、大学生投手を獲得してくるのではないだろうか。
高橋選手は阪神も熱視線を送っているそうだ。高校生内野手を獲るとすれば、その指名順位についても、慎重な議論を重ねていかなければならないだろう。(スポーツライター・飯山満)