「金本監督は確信があって、ロサリオに4番を申し渡したわけではありません。打ってもらわなければ困るという喝ですよ」(在阪記者)
推定年俸3億4000万円。近年、阪神は助っ人に対し、「いきなり、3億円」といった大型契約を結んでこなかった。大型契約でなければ来日してくれない一流選手を避けてきたせいもあるが、「活躍できなかったときのリスク」を恐れ、メジャーとマイナーを行き来している選手のなかから日本向きのタイプを見つけてきた。リスクを冒してまでロサリオの獲得を決めたのは、金本監督が強く大砲タイプの補強を訴えたからである。
ライバル球団の関係者がこう言う。
「ボールを遠くに飛ばす力は、たしかに一級品です。詳しくは言えないが、打てるコースと打てないコースがはっきりしています。まあ、2月の練習試合の段階から各球団はデータを取るため、試験的にいろいろなコースを投げていきました」
こういう話を聞かされると、不振脱出には時間が掛かりそうだ。4番を予定していた選手が打てないとなれば、金本監督は苦しい展開を強いられる。
「フロントも『今年こそ優勝』の機運が高まっています。ロサリオが本当にダメなら、シーズン途中でもそれに変わりうる選手を補強してくるでしょう」(プロ野球解説者)
とはいえ、金本監督のお眼鏡に適う選手は残っていないだろう。
「国内トレードですよ。阪神のフロント幹部はキャンプが始まったばかりのころ、『もう補強はしない』と言い切っていました。オフの補強に成功したと自負していたためですが、先発投手に不安が残ると見るなり、西武から岡本を獲得するトレードをまとめました。今年の阪神は迅速な補強を仕掛けてきます。その迅速さに他球団も警戒しています」(球界関係者)
ロサリオの代役は外国人選手ではなく、国内トレードということになりそうだ。長距離タイプ、相手球団が手放す可能性のある選手…。思い当たる選手は日本ハムの中田翔(28)だけだ。
「日ハムの栗山(英樹=56)監督は中田に主将役を託すなどし、発奮材料を与えています。でも、中田自身、清宮中心のチームを作ろうとしている流れは察しています。一軍戦力の交換要員を挙げられれば、日ハムも前向きに動いてくるでしょう」(前出・同)
日ハムはフロント主導のチームでもある。戦力を「主力、控え、若手、余剰」の4つに分け、高額年俸となったベテランは厳しい立場に置かれる。FA権を取得したチーム功労者が権利行使しても引き止めないできたのはそのためで、また、「メジャーリーグ、他球団が欲しがる選手を育てていく」の方針だ。
「金本監督は昨季20本塁打を放った成長株の中谷(将大=25)を二軍に降格させました。再調整が目的ですが、ロサリオ不振のときに大砲タイプの若手を一軍から外したということは『次の策』があるからでは?」(前出・プロ野球解説者)
ロサリオに懸けてみる。不振脱出の兆しがなければ、阪神フロントは“迅速な補強”を仕掛けてくるだろう。
チーム危機は巨人も同じ。そこでシーズン途中でも獲得できる大砲ということで中田が再浮上してきた。
GT争奪戦となるか、それとも、阪神が緊急措置で踏み切るか、日ハムはいずれにしてもウエルカムだ。