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『江〜姫たちの戦国〜』第19回、宮沢りえ演じる茶々の激情

 NHK大河ドラマ『江〜姫たちの戦国〜』の第19回「初の縁談」が、5月22日に放送された。今回は初(水川あさみ)の縁談と茶々(宮沢りえ)の側室話という別々の話題をリンクさせることで、三姉妹の物語としての統一感を出した。

 『江』は浅井三姉妹の三女・江(上野樹里)を主人公としたドラマであるが、三姉妹の物語でもある。副題の「姫たちの戦国」や公式サイトの解説「戦国を生きた三姉妹と英雄たちの天下を揺るがす愛の物語」が示す通りである。江一人ではなく、三姉妹皆が主役級である。

 しかし、姉妹というだけで別々の人生を歩む三人を一つの物語で描くことは容易ではない。江の出来事、初の出来事、茶々の出来事を並列に並べただけでは物語の統一感に欠ける。この点で初の縁談と茶々の側室話をリンクさせた今回は、見事に三姉妹の物語になっている。

 江は茶々が豊臣秀吉(岸谷五朗)の側室になることを阻止したい。初は高次と結婚したいが、自分を政略結婚の駒と見ている秀吉が障害になっている。茶々は秀吉の側室になるつもりはないが、秀吉に初と高次の縁談をお願いする。三人の思いが絡まったドラマになった。

 相思相愛の初と京極高次(斎藤工)に比べると、茶々の秀吉への思いは屈折している。茶々にとって秀吉は憎むべき親の敵である。そのような人物の側室となった茶々の屈折な思いは、過去の大河ドラマでも様々に描かれてきた。『秀吉』の松たか子の茶々は石田三成を誘惑する。『功名が辻』の永作博美の茶々は死の間際の秀吉に復讐する。

 これら過去の大河ドラマに比べると、『江』は主人公の台詞「好きでもない人に嫁ぐのですか」が示すように愛を重視している。秀吉を仇と思っていた茶々の感情の変化が見どころである。茶々は秀吉の側室になることをきっぱりと断ったものの、次第に心を動かされていく。

 これまで茶々は江や初と比べると穏やかな性格で、感情を顕わにすることが少なかった。これは長女で母親代わりという立場が影響している。これは豊臣家滅亡の一因ともされるヒステリックな茶々のイメージとは離れている。

 しかし、今回は激情的な行動に走る。この茶々の行動は江ら周囲の人々だけでなく、茶々本人にも理解できないものであった。その戸惑いを宮沢が好演している。後年の淀殿に通じる茶々の激情的な一面を垣間見られた内容であった。(林田力)

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