ベイスターズは第1次の10月1日に、10選手と来季の契約を結ばないと通告。2次で通告される選手は皆無だったため、結果的に5投手5野手がベイスターズのユニフォームを脱ぐこととなった。
その中には、昨年ベイスターズに入団し印象に残る活躍を見せた右の大砲・中川大志も含まれていた。
中川は2008年、東北楽天ゴールデンイーグルスからドラフト2位指名を受けプロ入り。愛知・桜丘高校出身で初のプロ野球選手となった。
3年目にはイースタン・リーグで打点王のタイトルを獲得。ケガで育成選手契約も経験したが、再び支配下登録を勝ち取る。2013年にはイースタンの本塁打王と打点王の2冠に。2015年には一軍で待望の初ホームランのあと、サヨナラホームランや2打席連続ホームランなどの活躍を見せたが、2017年オフには戦力外宣告を受けてしまう。しかし、右の長距離砲に魅力を感じたベイスターズが目をつけ、晴れて入団の運びとなった。
移籍初年度の昨年は開幕を一軍で迎えた。4月21日のヤクルト戦では1点ビハインドの9回に代打で同点2塁打を放ち、交流戦では主力の相次ぐケガの穴を埋めるべく奮闘。スタメン起用でホームラン、そしてクリーンアップの一角も務め、47試合で2本塁打、打率は低いながらも長打率は4割越えと自身の長所を発揮した。
しかし、今年はジャイアンツから戦力外通告を受け、ベイスターズに入団した同じ右打ちの中井大介に出番を奪われる格好になってしまった。ファームでは打率.292、9本塁打をマークするも、1軍ではわずか3試合で3打席しか与えられずに、10月1日に自身2度目の戦力外通告を受けることとなった。
中川は通告を受けたその日のうちに引退を発表。イーグルスやベイスターズに感謝の弁を述べると共に、「いつかは引退すると覚悟してプレーしていましたが、現役でプレーすることができなくなると寂しくてたまりません」とし、「ですが、プロ野球生活に悔いはなく、晴れ晴れとした気持ちでもあります」と複雑ながらも前向きな言葉を残した。
仙台で横浜で11年間愛された中川大志。その豪快なスイングはいまでもファンの目に焼き付いている。
写真・取材・文 / 萩原孝弘