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コンピューターゲームの20世紀 第10回…『ファミリーコンピュータディスクシステム』

 <やればやるほど、ディスクシステム>
 我々オールドプレーヤーにとってのDSとは、“ディスクシステム”のことであり、決してあの人気携帯ゲーム機なんかのことではない。
 発売日前後に繰り返し流された、そのディスクシステムのCM。任天堂自らが使ったキャッチコピーは「カセットの時代からディスクカードの時代へ」。
 当時のROMカセットは容量の問題に直面しており、それを解決しようにも半導体の価格が高騰していたため採算が合わないという、まさに八方塞がりの状態だったのだ。
 そこで開発されたのがディスクシステムという名の周辺機器である。ディスクシステム用の磁気ディスクは“クイックディスク”規格で、外見こそフロッピーディスクに似ているが、内部的には全く異なりFDよりもずっと単純な構造をしている。本来はランダムアクセス(高速アクセス)可能なFDが理想だが、コスト面でQDが採用されたのだろう。
 このQDに任天堂独自のコピー対策を施したものが“ディスクカード”である。
 満を持して発売されたディスクシステムは当初飛ぶように売れた。特にキラータイトルの『ゼルダの伝説』はすこぶる評判が良く、ゲーム内容もさることながら、PWM音源特有の伸びやかかつ美しい音色には心底驚かされたものである。コピーの氾濫を危惧して本体の発売が行われなかった日本国外ではROMカセットで供給されたが(後に日本でも『ゼルダの伝説1』として移植)、PWM音源が搭載されていないだけで印象がまるで異なる。もはや別のゲームにさえ思えてしまうほどだ。

 <画期的だった“書き換えシステム”> 
 その後もコナミが良質の専用ソフトを積極的にリリースしたりと、ほんの一瞬だが本当にディスクシステム時代が到来するかとも思われた。が、発売から僅か2年でペースダウンしてしまう。
 半導体の量産化体制が整ったこと、そして技術の進歩により1Mbit・2Mbitの大容量ROMカセットがディスクシステム発売の年に実現。さらに翌年、バッテリーバックアップ機能を搭載したROMカセットも発売される。そしてその翌年には拡張音源までもが搭載され、ファミコンに対する優位性はことごとく打ち砕かれていったのである。また、利益率が低いためにサードパーティが次々と撤退していったことも、衰退の原因の一つだろう。
 400万台以上の売り上げは“周辺機器”としては異例の大ヒットだが、これを“ハード”として考えた場合は、やはり失敗だったと言わざるを得ない。
 しかしながら、僅か500円でゲームを供給するという“粋な”書き換えサービスは賞賛に値するし、店頭に設置されていたディスクライターも独特の存在感があって気に入っていた。デパートのおもちゃ売り場から流れてくるあのBGMを耳にすると、特に何を買うわけでもないのにワクワクしたものである。書き換え時の風船(というか怪しい兄弟)を膨らませる映像にも、子供ながらにハラハラさせられたものだ。そしてエラーが出た時の絶望感…。
 そう、本体・ディスクカードともに壊れやすかったのも任天堂らしからぬ商品だった。しかしこういった様々な失敗は、後の任天堂ハードにしっかりと活かされている。(内田@ゲイム脳)

(C)1986 NINTENDO

DATA
発売日…1986年2月21日
メーカー…任天堂

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