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プロレス界のイニエスタ、クリス・ジェリコが内藤哲也から“10度目”のIC王座奪還予告

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クリス・ジェリコ

 今年の新日本プロレス1.4東京ドーム大会にクリス・ジェリコが参戦することが明らかになったときのプロレス界の反応は大きかった。こんなことを書くとサッカーのファンに怒られてしまうかもしれないが、サッカー・スペイン代表でバルセロナから日本のヴィッセル神戸に完全移籍したアンドレス・イニエスタと同じくらいの衝撃とインパクトがあったように思う。

 ジェリコは契約上、フリーではあるが現在でもWWEのスーパースターリストに名を連ねる。新日本に出場した後もWWEマットに大物レジェンドとして上がっている。イニエスタは34歳でまだまだ働ける時期。今年48歳を迎えるジェリコはベテランではあるが、年商600億企業のWWEで活躍を続けているだけに、ジャンルは違えどスター性ではイニエスタに決して劣っていない。プロレスファンとして、そう勝ち誇っておく。

 ジェリコは5.4福岡国際センター大会で内藤哲也を客席から急襲した。6.9大阪城ホール大会で新日本マットに再登場することが決定したジェリコは22日にも姿を現した。この日は後楽園ホールで『ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア25』が開催されていたが、内藤哲也のタッグマッチが終わると、場内が暗転。場内のスクリーンに上半身裸で自撮りをしているジェリコが映し出された。

 ジェリコは「ナイトーサン、俺に対するコメントを読んでオマエの気持ちはよく分かった。オマエが新日本、そしてプロレス界の主役なのは認めてやる。だが、俺に言わせれば……このマヌケな亀だ」と内藤を酷評した。

 ジェリコは「マヌケな亀はクリス・ジェリコというスーパースターを目にして全く動けずショックを隠せなかった。オマエに群がってるバカなファンどもと同じリアクションだ。オマエを叩き潰してインターコンチのベルトを奪ってやる。ベルトは必要ないんだろ? 俺はトランキーロではいられない。6月9日、『DOMINION』で俺のヤバさをオマエに教えてやる」と宣言した。

 「6カ月間、クソ生意気なオマエを潰すチャンスを待ちわびていたぜ」と対戦が待ちきれない様子のジェリコ。「ロス・インゴベルナブレス・デハポンなどクズの集まりだ。俺が10度目のインターコンチネンタル王座に輝く」とジェリコはほくそ笑んだ。「オマエは俺よりも優れたレスラーだと言ってたな?そのとおり、オマエが新日本の“主役”で間違いない。だが、ポッと出てはすぐに消えていく、他のクソレスラーどもと何も違わない。俺はクリス・ジェリコ“アルファ”だ。世界最高のスターだ」と勝ち誇った。

 「だから日本まで、オマエを潰しに行ってやったんだ。ミスター・メインイベントさん。オマエは何年かかっても俺のようなスターにはなれない。だが、俺のおかげでオマエも晴れて有名人だ。俺のおかげで名前が売れただろ。そして『DOMINION』で俺に潰されてもっと有名になれるぞ」とジェリコは不気味に笑った。

 「インターコンチのベルトを俺によこせ。バカな日本人にはもったいない。ベルトの価値を高めてやるぜ。ナイトー、分かったか?余計なことを言わなければよかったと後悔させてやる。6月9日『DOMINION』を楽しみにしてるぜ。F●●K FACE!」…そう一気にまくし立てると映像が終わり、場内に明かりが戻った。

 ジェリコの映像を寝転がりながら見ていた内藤は、大の内藤コールに包まれる中、マイクを握ると「暗転するもんだから、てっきり襲撃に来るのかと思ったぜ」ととぼけた。だが、ジェリコから漂う大物感を誰よりも楽しんでいたのは内藤本人だった。

 内藤は「まあ、彼もオクパード、忙しいんだろうね。こんなちっぽけなメッセージを送ってくるほうも送ってくる方だけど、流すほうも流す方なんじゃないの?」と肩をすくめる。「だって、今はジュニアの祭典、『ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア』の真っただ中だぜ?」とジュニアヘビー級の選手に配慮。そして「クリス・ジェリコ、そしてこのVTRを流した新日本プロレス、こんなときこそまさに、トランキーロ!あっせんなよ!カプロン!」と場を締めてみせた。

 バックステージでも「大阪城ホールが大事なのは分かるけど、ここで流すのは…」と苦言を呈しつつ「彼の口からベルトというのが出てきた。彼がほしいって言うんだったらじゃあ、懸けようよ。懸ける意味はあるね」とタイトル戦を正式に受諾した。

 ジェリコは10度目のインターコンチ(IC)王座の奪還を予告していた。WWEが管轄しているIC王座を9度も戴冠しており、WWEと新日本をスレスレなところでリンクさせ、内藤の気持ちをグッと引き寄せたあたりはさすがである。

 自由人と知られるジェリコなだけに、6.9大阪城大会の内藤戦の勝敗にかかわらず、6月29、30日に両国国技館で開催されるWWE日本公演にも“いつものように”登場することも十分考えられる。“プロレス界のイニエスタ”クリス・ジェリコは常に“おいしい”場所を探りながら、スーパースターの道を歩み続けている。

【どら増田のプロレス・格闘技aID vol.10】
写真 / 萩原孝弘

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