霊感がある、という事でたびたび心霊スポットへのロケなどに赴く機会の多い彼女。夏場ともなれば特にそのロケは増える傾向にある。この時も心霊関係のロケが続いた時だった。彼女が吉原方面へ撮影で訪れた時、吉原神社までの道のりで若い女性の霊を見つけたという。彼女曰く、その女性は20歳ほどで同い年ぐらいに見えたそうだ。そして、女性の声が響いてきたという。
「どう してお前は笑っているんだ?」
「私は辛かったのに…許せない…」
とは言え、どうする事も出来ない彼女はただひたすら心の中で「私には何も出来ません、ごめんなさい」と謝る事しかできなかったという。そして、知らず知らずのうちに泣いてしまっていたのだそうだ。
その撮影から帰ってのち、数日間は微熱の日が続いて気分的にも不安定な日々が続いたという。現場への移動中などでも、訳も分からず悲しくなって声を上げて泣いてしまうこともあったそうだ。彼女は即座に、ロケで見た女性の霊を思い出していたのだが、自身の不調を霊のせいにしたくない、自分で何とかコントロールしないと、と考えて耐えていたのだという。
そんなある日の事、彼女は急に高い 所へ行きたくなったという。自分では全く自殺など考えていないのに、『自分の中にいるもう一人の誰か』が体を動かしているようだったという。そして、
「殺してやる」
その声が耳に届いた途端、彼女は我に返り、同時に今にも高所から飛び降りようとしている自分に気がついたという。そして、何とか助かった安堵感と「このままでは殺されてしまう」という恐怖感で泣き出してしまったのだそうだ。その後、彼女は除霊を行っている人物の所へ出向き、お祓いを受けた。除霊師は「かなり強力な女の霊が憑いており、生きているのが奇跡的なほどだった」と彼女に語ったという。
彼女が出向いた吉原は、女性が遊女として売られてきた所。体を壊したりして、まだ年若くで死んで いく女性も多かったという。彼女に取り憑いたのは、そんな女の念だったのだろうか。
(写真は山口敏太郎事務所にて撮影)