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2011年『12球団ペナントレース総括』 エースのお値段! 中日編

 最多勝と防御率の二冠。08年以降、4年連続2ケタ勝利を収めた実績からしても、大幅増での契約更改は間違いないだろう。吉見一起(27)の2011年の推定年俸は1億2000万円。2億円台突入はほぼ間違いないだろう。

 18勝3敗、防御率1.65、勝率8割5分7厘(全てリーグトップ)。また、今季の与四球は「23」。WHIPは0.87!(WHIP=1イニング当たりに許した走者の数。走者は「安打+四球」)。持ち球、球質に突出した特徴はないが、『数値』(=成績)を見てみると、本当に頼りになる投手である。
 吉見の今季初先発は4月20日。開幕第8戦目となったのは、昨季後半に痛めた右ヒジ痛による出遅れのためだが、今季25回の先発試合を改めて見直してみたところ、2つの特徴が分かった。

 1つはクオリティー・スタート(先発投資名が6回以上を投げ、3失点以内に抑える/以下=QS)の多さだ。QSをマークできなかったのは「3試合のみ」。しかも、それが13試合目の先発(7月13日)であり、そのQSを飾れなかった3試合にしても、チームが敗戦したのは1試合だけ。『勝率8割5分7厘』の“中身の濃さ”が窺える。2つ目は完投が5試合しかないこと。他球団のエースと比較すると、少ない方である。MVPを獲得した浅尾拓也(27)、岩瀬仁紀(37)など鉄壁のリリーフ陣がいたからだろうが、高木新体制では「オレが最後まで投げる!」という姿勢も見せるべきだろう。
 というのも、左のエース、チェン・ウェイン(26)が『自由契約』になっている。昨年オフ、メジャー移籍を視野に入れていたチェンの代理人は「11月末でいったん、中日球団の拘束が切れる付帯事項」を勝ち取っており、チェン本人は「これから考える」と、チームを離れる可能性も示唆していた(11月26日時点)。おそらく、このままメジャー球団との交渉に入るだろう…。

 確実に2ケタが計算できる投手を喪失する以上、吉見に掛かる期待はさらに大きくなる。2年目の大野雄大、新人・辻孟彦(22=日体大)らのローテーション入りも期待されているが、“未知数”の彼らがどこまでやれるか、全く見当付かない。
 チーム打率2割2分8厘、得点419の中日が優勝できたのは(ともにワースト)投手力だが、もっと言えば、「リリーフ陣の奮闘」である。今季79試合中、3得点以下で勝ったゲーム数は29試合。「一打逆転」という緊迫した場面で投入され続けたリリーフ陣の精神的・肉体的負担を軽減するためにも、吉見には「完投試合数」を増やしてもらいたい。今オフ提示される大幅昇給額には「その期待値も含まれているのではないだろうか。

 勝率8割強の投手に注文を付けるのもおこがましいが、吉見には2つの弱点がある。まず、初回に失点するケースが多いこと。また、昨年もそうだったが、7月に調子を落とす傾向も見られる。
 12月2日の納会で吉見は『選手会長』に選出された。「ファン集客を増やすためにも、チケットの値下げを…」と、球団、球場への直談判も示唆していた。チケット代値下げの可能性はともかく、「チームを牽引していく」という自覚も芽生えてきたようだ。その自覚があれば、立ち上がりの悪さ、7月に防御率を落とす弱点も克服されるだろう。(スポーツライター・飯山満)

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