も出てきた。
海外FA権を持たないダルビッシュがメジャーに移籍するには、ポスティングシステムしかない。
「彼の圧倒的な投球内容からすれば、メジャー挑戦は自然な流れなんですが…」(プロ野球解説者の1人)
しかし、メジャー30球団側は「今オフは(ポスティングが)ある!」と、かなりの確信を持って見ている。その根拠は−−。
昨季はクライマックスシリーズの最中だった10月19日に自らのブログのなかで『残留』を表明。早々に去就を決めたのに対し、今年は『残留』を示唆する言動が1つもなかった。12月の契約更改を前にして、確かに「チームに残る」とは言っていないが、「大リーグに行く」とも明言していない。
また、国内の球界情報を整理してみると、こんな見方もできる。日本ハム球団は“来るべく日”に備えているのではないだろうか。
ドラフト会議で菅野智之(22=東海大)を強行に指名したのは『エース喪失』を前提にしての冒険だったという。
今年6月のプロ野球実行委員会でのことだ。『ポスティングシステムに関する改定』が提議されたが、日本ハムは真っ向からそれに異を唱えた。岩隈久志(30)が落札球団・アスレチックスとの交渉が決裂したのを指し、「最高入札金を投じた1球団から、交渉を上位3球団に拡大してもいいのではないか」なる声が大半を占めたのだが、「それではFAと同じになってしまう。ポスティングの意味がない」と主張し、改定に傾き掛けていた同委員会の空気を一変させている。「ダルビッシュを手放すときが来たら、少しでも高く」という思いからだろう。
「日本ハムはダルビッシュを抱えておくことはできない」と指摘する関係者もいないわけではない。ダルビッシュは昨年の契約更改で3億3000万円から5億円に昇給。今季の成績は18勝6敗(28試合)、勝率7割5分。完投10。奪三振数276、防御率1・435…。5年連続での防御率1点台の好成績からして、7億円台への突入は間違いないだろう。しかし、問題が1つ…。日本ハムのチーム総年俸は約25億円。ダルビッシュ1人が「約3分の1」を占めることになり、球団経営面から見ると、“危険水域”に入ったとも考えられる。かつて、オリックスがイチローを手放したときも同じような状況にあったからだ。
とはいえ、当のダルビッシュは「メジャーに行きたい」と口にしたことは1度もない。米FOXスポーツは<ダルビッシュの去就がはっきりするのは1月までずれ込む>と、予想していた。日本ハム球団は在籍選手全員と年内に契約更改とのまとめるスケジュールだが…。
米メディアは「ダルビッシュの落札金は6000万ドルを下らない」と見ていた。しかし、松坂大輔、井川慶の不振から「落札球団は長期契約を避ける」とも報じていた。
日本ハムは『日本のエース』にどんな条件提示を出すのだろうか。栗山英樹・新監督を迎えたというのに、オフの補強市場で日本ハムの動きはほとんど聞かれない。ダルビッシュが残留するからか、それとも、落札金を得てから大掛かりな補強に出るつもりなのか…。ダルビッシュは去就について、まだひと言も発していない(12月3日時点)。獲得を目指すメジャー球団からすれば、主役が動かない以上、ウインターミーティングで大掛かりな補強には出られない。全てはダルビッシュの決断次第である。(スポーツライター・飯山満)