新日本がWWE(WWWF、WWF)と提携していた1970年代後半から80年代前半にかけて、新日本の選手がWWEのMSG定期戦などに上がっていた。だが、新日本が共催とはいえMSGで大会を開催するのは初めて。チケットはアメリカにおいて近年“ニュージャパン”人気が急騰していることもあり、発売と同時にほぼ完売したというのだから驚きだ。翌日にはWWEが世界最大のプロレスイベント『レッスルマニア35』をニュージャージー州イーストラザフォードのメットライフ・スタジアムで開催するとあって、今年の『レッスルマニア』ウィークに全世界のプロレスファンの注目が集まるのは間違いないだろう。
第0試合では、1分時間差バトルロイヤルHONORランボーマッチの開催が決定。1.4東京ドームの恒例だったニュージャパンランボーと同様、本戦に出場しない新日本とROHの選手が大量に出場することが予想される。既に今大会への出場を志願していた獣神サンダー・ライガーの参戦が発表された。ライガーは今大会に出場する全選手の中でアメリカでの知名度が最も高い“世界の”レジェンド。来年1月での引退を表明した。ライガー目当てのファンにはしっかりと目に焼きつけてもらいたい。
第1試合はNEVER無差別級王者ウィル・オスプレイが、ROH世界TV王者ジェフ・コブとダブルタイトルマッチ。既にジュニアヘビー級の域を超えたオスプレイが、スーパーヘビー級のコブとのシングルマッチで記念すべきMSG大会の幕を開ける。オスプレイには次期挑戦者としてタイチが名乗り上げており、体格差はあれども負けられないところ。コブもアメリカのリングでタイトルを失うわけにはいかない。激戦必至だ。
第2試合ではダルトン・キャッスルとルーシュによるROH対CMLLの米墨対決。第3試合にはROHの女子ブランド・WOHの世界王者の岩谷麻優(スターダム)が参戦。ケリー・クレインを相手に防衛戦を行う。女子選手もWWEに参戦しなければMSGのリングに上がる機会はないだけに岩谷は大きなチャンスを手に入れた。第4試合はROHのブリー・レイNYCストリートファイトオープンチャレンジマッチ。第5試合はIWGPジュニアヘビー級選手権試合だ。王者の石森太二が、ROHのバンディード、CMLLのドラゴン・リーを挑戦者に迎えて3WAYマッチを行う。
後半の第6試合は、第一弾決定カードだったIWGPタッグとROH世界タッグのダブルタイトルマッチ。ROH世界タッグ王座の移動に伴い、IWGPタッグ王者組のタマ・トンガ&タンガ・ロア、ROH世界タッグ王者組のPCO&ブロディ・キングに、EVIL&SANADA、ブリスコブラザーズが4WAYで対決する。勝てば日米のタッグタイトルを総取りでき、挑戦者組にとっては願ってもないチャンスとなる。
第7試合ではブリティッシュヘビー級王者のザック・セイバーJr.が、棚橋弘至と防衛戦を行う。『ニュージャパンカップ2019』で対戦した際、棚橋に敗れたザックは激怒し、マネージャーのTAKAみちのくは「しかるべき舞台で決着をつける」と予告していた。棚橋にとってザックは苦手なタイプではあるが、タイトルコレクターの顔を持つだけに、ブリティッシュヘビー級王座をMSGの舞台で、“あの技”で獲りたいと思っているだろう。歴史は繰り返すのか注目だ。
第8試合では半ば内藤哲也が逆指名した形で、飯伏幸太とのIWGPインターコンチネンタル選手権試合が実現。こちらもザック対棚橋と同じく『ニュージャパンカップ2019』の再戦となる。現在進行形の日本人対決がMSGで行われるのはとても興味深いこと。女子では過去にクラッシュギャルズと極悪同盟による日本人対決がMSGで行われているが、男子では初ではないだろうか。内藤と飯伏には世界のファンが釘づけになるような試合を見せつけてほしい。
ダブルメインイベント第1試合はROH世界選手権試合。王者のジェイ・リーサルがマット・テイヴェン、マーティー・スカルを挑戦者に迎え、3WAYラダーマッチを行う。天井から吊されたベルトを取った選手が勝利となる。
ダブルメインイベント第2試合はIWGPヘビー級選手権試合。王者のジェイ・ホワイトにオカダ・カズチカが挑戦する。オカダは故・ジャイアント馬場さん、引退されたキラー・カーンさんに続いて、MSGのメインイベントに立つ日本人3人目の選手となる。ニューヨーク、マンハッタンのど真ん中で“カネの雨”を降らせることができるのか?それともジェイが阻むのか?両選手が持ち得る全てをぶつけ合う試合が見られるはずだ。
当日はツイッターの世界のトレンドに「njpw」や「njmsg」が並ぶ可能性は十分。日本では桜が満開の時期に“ニュージャパン”ブランドが海を渡る。
取材・文・写真 / どら増田