−−まずはじめに…初めて拝見したのですが、思わず泣いてしまいました笑。すごい迫力の歌声ですね。
ありがとうございます、ステージからも見えてましたよ(笑)。
−−本当に感動しました。ちなみに、去年一年間で複合施設でのイベント主演数が162本ということですが、凄い数ですね。
よく考えたら162って凄いですね。気づいたらそこまでの数になっていましたが、メジャーリーグの試合数と同じじゃないですか(笑)。
−−こういったオープンスペースでのイベント出演だと、通常のコンサートとは違って大変なこともあったのでは?
それはもう、ありました、ありました…(笑)。始めた当初はお尻触られちゃったり、「へたくそ!」と大声で言われたりとか、そこは色んな人が集まる場所ですからハプニングもいっぱいありましたよ。
−−お尻もですか!? どうしてそんな過酷な状況でのイベント出演を続けるんですか?
アーティスト仲間にも「何故そんなハードな環境を選ぶの?」ってよく言われます。始めた動機は、緊張しいだったメンタルを鍛えたかったからですね。おしゃべりがそんなに得意ではないですし、私のことを知らないお客さんも当然いて、ステージに上がる前は本当に毎回震えが止まらず意識が飛びそうでした…。でもそんな私がこの複合施設でやりはじめて気づいたのが、初めて出会うそこにいる人たちに「初めまして」って、言葉より先に音楽でいきなり気持ちの共有ができちゃうすごい場所だということ。色々なタイプのアーティストがいると思うのですが、私には合っていた場所がたまたま複合施設だっただけだと思います。
−−芸能界でもfumikaさんの生歌で思わず泣いた著名なタレントさんや俳優さんが沢山いるようです。そこにはアスリートも多いそうですね。
上手く言えないですが、「感動して涙する」という行為自体は、人間だけの稀有な現象なのは間違いなくて。最近では音楽医療の分野も注目されてたりしますし。みなさんがおっしゃっていただけるほど自分に特別な力があるとは思えないですが、気持ちの共有という意味では単純にとても嬉しいです。みなさんそれぞれのストーリーはありますしね。
−−fumikaさん自身は普段どんなとき泣くんですか?
私自身はとても泣き虫なんです。涙腺ユルユルでして。でも涙って医学的にストレス解消効果があるらしいです。そう考えると最高のデトックスですなのかなって。よくこういった複合施設でたった数曲歌うだけでも「泣いたので明日からがんばれます」と言いに来てくれる人がいますね。
−−何か特別にやっていることとかありますか?
別に泣かせよう、泣かせようと意識しているわけではないです(笑)。ただ、端から見たら、偶然通りかかった人たちが涙ぐんで人だかりになってる絵なので、それはちょっとビックリしますよね。正直歌っているときって自分でも覚えてないんです、集中しすぎてて、意識が飛んでるというか。
−−実際にワンマンコンサートでも来場者のほとんどが、感動で泣きはらした目で会場から出てくるという景色になってますが、先ほどおっしゃっていた「不思議な力」を感じることはありますか?
今の世の中って情報が溢れ過ぎていて、選択肢が多い分、何が好きとか何が正しいとかって、分からなくなっちゃうことってないですか。でも実際、自分が体験したことと、人から聞いたことではやっぱり凄い差があって。私自身は、自分で見て、聞いて、感じたことを大切にしたいと思っています。肌で直接感じることや、言葉で言い表せないこと…こんな時代だからこそそれこそが唯一の確かなものではないのかなと。届ける側の立場としても特にそう感じますね。生のライブって、たまたま同じ場所、同じ時間を共有し、そこにいた人同士が特別な体験を味わう場所だと思うんですけど、これってやっぱりすっごく不思議な空間で。そこには、そこに集まったいろいろな人が持ち寄った特別な力があって、生で見て聞いて感じた嘘偽り無い気持ちがお客さんからもエネルギーでバーっと出てて、私も負けじと歌うんですけど、いつも不思議な感じです。
−−東京で活動しつつも、九州TOURを最初に公演し、すべてSOLDOUT。これは音楽業界が大不況と呼ばれるなか、地方からの下克上とも言えます。
下克上なんて大層な(笑)。自分のコンサートでは生バンドを背負って歌うのですが、私のコンサートではカップルやご家族も多いので、“絶対椅子席”を貫いています。仕事帰りのサラリーマンやOLの方もよくいらっしゃいます。「疲れた身体に聞く(効く)」じゃないですけど、一緒に特別な時間を過ごしたあとに、スッと顔を上げて、自然に前を向く姿勢になってもらえたら嬉しいですね。
「fumika POWER OF VOICE 2015 追・追加公演 〜鶯谷で会いましょう〜」
開催日:2015/10/16(金)
開場時間:18:00
開演時間:19:00
会場:東京キネマ倶楽部