−−なぜ今回のコラボが実現したのですか?
タケト 僕からお願いしました。fumikaさんのアルバムを聴いていて、この絵本を読んでもらった子供に、こうなってもらいたいという、アンサーソングなのではないかという曲が「10000回のありがとう」でした。
−−お互いの作品の印象は?
タケト 先ほども話しましたが…本当にこの曲は絵本のアンサーソングなんじゃないかなと思っています。オレの子供が受け取って欲しいことを言ってくれているんです。絵本はお母さん目線、曲は子供の目線になっています。
fumika 私は自分の過去を重ねながら読ませて頂きました。私自身は親にとても迷惑をかけていたので…。反抗期には何度も家出を繰り返すような子だったのですが…。やっぱりそれでも待ってくれて、最後は抱きしめてくれたのも母親でした。だからこの物語を読み終わった後には涙がでちゃいました。
タケト fumikaさんが家出をしたということは驚きです。
fumika 高校生の時に学校に通っていても、あまり自分の中で勉強をする意味がわからなくて…。よく学校に行くふりをして、昼は友達の家へ行って、一緒にセッションをしたり、ギターを弾いたりしていました。でも、それが親にバレてしまって…。その後、親からは門限を決められたり、学校に着いたら連絡するようになどと言われるようになって、それが嫌になってしまいました。そして、ある日の夜に、最低限の洋服を持って、携帯は実家に置き去り、いわゆる誰とも連絡が繋がらない状態にして友達の家へ転がり込みました。そこから1か月も経つうちにお金もなくなってきて、友達にも悪いと思うようになりました。その期間中母親はすごく探し回ったみたいで、友達のところにも連絡がきて、ついに居場所がバレてしまいました。母親が迎えにきたので、むっちゃ怒られるんだろうなとすごく警戒してたんですよ。でも母親は会った瞬間にたった一言「無事でよかった」と。当時、何でも独り善がりに物事を考えすぎていた自分にとってその言葉はまったくの予想外でしたね。自分が大人になり一人立ちしてから、あの時は本当に迷惑をかけてしまったなあと思います。
−−タケトさんにも女の子のお子さんがいるということですが、もしかすると、いずれ家出してしまうかもしれないと、想像できますか?
タケト 僕の子供も女の子なので、いずれ似たようなことがありえると聞くので、反抗期が来るのはしょうがないかなと思いますが…。でも、そもそも今、3歳の時点で、「ママがいい。パパはやだ」と言っているんです。「何がイヤなの?」と聞くと、「鼻がくさい」って言われます。でも、fumikaさんは音楽をやりたいという思いは今に役立っているじゃないですか。それに自主性もあってすごいと思うんです。学校へ行くということだけが正しいわけではないとも思います。その時に親として、なんと言ってあげられるかを考えさせられますね。突き詰めるほど好きなことがあるって、本当にすばらしいと思うんです。
−−では、もしタケトさんのお子さんがお笑い芸人になることを希望したら?
タケト 芸人だけは嫌です…(笑)。女芸人は…男性芸人からイジられるのをおいしいと思わなければいけないので。親としては…ちょっと。
fumika でもお父さんの背中を見て、憧れることもあると思いますよ。
タケト もし、娘がそうなったら…吉本以外の事務所からでとアドバイスします(笑)。
−−絵本のタイトルが「きょうもいやがらせべんとう」ということで、お二人はお弁当を作られたりはしますか?
タケト 料理をすっごいやる方ではないのですが、たまに嫁の手伝いはします。ただ、独身の頃は自炊はしっかりやっていました。だって、芸人ですよ(笑)。お金がないので、自炊ばっかりです。当時はモヤシをどう活用するかを考えていました。“モヤシ君の料理”で一冊、本が作れると思います。ただ、fumikaさんの曲でぴったりコラボできるものがあるかどうか…(笑)。
fumika 私は今、ひとり暮らしをしているのですが、あんまり料理はしないんです。それに細かい作業が苦手なので、料理するとしても、ざっくばらんな男飯みたいな感じです。
タケト fumikaさんの料理の話、とても好感が持てますよ。だいたい、よく思われたい女子は「肉じゃが」か「オムライス」って言うんですよね(笑)。
fumika 私はワサビで焼酎を飲むタイプなので…。
タケト 最高だなあ(笑)。
−−最後に絵本「きょうもいやがらせべんとう」と「10000回のありがとう」のそれぞれのPRをお願いします。
タケト 絵本「きょうもいやがらせべんとう」は、もちろんお子さんにも読んでもらいたいのですが、fumikaさんと同世代の方にも読んでもらいたいです。一度、社会人になった子供が、お母さんへありがとうの思いを込めて、プレゼントしてもらえると素敵だと思います。
fumika 「10000回のありがとう」はセカンドアルバムに収録されています。この曲は実際に私が両親へ宛てた手紙から作った楽曲です。今回、「きょうもいやがらせべんとう」という素敵な絵本に出会えてまた新たな作品になったと思います。絵本を読みながら聴いてもらえたら、すごくうれしいです。誰でもリンクするシーンはあるのではと思います。
こちらの絵本「きょうもいやがらせべんとう」は全国書店などで発売中。fumikaはライブ「fumika POWER OF VOICE 2015 追・追加公演〜鶯谷で会いましょう〜」が10月16日東京キネマ倶楽部で決まっている。