三宅の選手登録は平成元年。20年たってのGI初制覇だが、本来ならば64期生では在校成績ナンバーワンだっただけに、同期の高木隆弘(神奈川)や有坂直樹(秋田)にGI獲りで先を越されていたことで、さぞや悔しい思いをしていただろう。
デビューして3年目、レースにも馴れて「三宅のGI獲りは時間の問題」と言われた平成3年、交通事故でヒザを痛めた。その後遺症のため先行まくりから追い込み戦法をとることが多くなったが、バックから必ずまくって出る三宅の気迫は「いつか偉業達成してくれるのではないか…」とファンに期待を持たせていたものだ。
もともと中国地区には若手の先行選手が出るものの伸び悩んでいた。競輪や競艇などプロ選手の多い岡山だが、何故かマーク型にかわり、先行選手が育っていない。唯一、小橋正義が特別を制しているが、事情あって新潟に転籍しているため、実質的には三宅が岡山初のタイトルホルダーとなった。
勝利インタビューで「すべては石丸寛之くんのおかげ。でも目標さえ掴めばなんとかなる自信が湧いてきた」といっていた三宅は昭和44年生まれの39歳。恵まれた身体(1.83メートル、90キロ)で、これからもファンを喜ばせるレースをしてくれることだろう。
三宅の遅咲きGI初制覇は中年選手にとって「大いなる可能性」を感じさせる。このところぱっとしない高木や有坂も2009年では再び蘇るだろう。練習に打ち込む真面目さと誰にも好かれる性格の明るさ。その点の共通性もある。
30日の平塚競輪グランプリ。三宅はライン的に井上昌己(長崎)のまくりを目標にしそうだ。井上が北日本、中部の先行争いをまくればGP獲得の可能性は一段と高まるだろう。