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新重賞今昔物語 渋い国産血統のウメノファイバーがV

 サンデーサイレンス産駒が全盛期に突入したばかりだった1999年のオークスは、古い血統ファンが溜飲を下げる結末となった。

 その年は後にドバイワールドCで2着するトゥザヴィクトリー、2歳女王のスティンガー、重賞5勝のフサイチエアデールと3頭の優秀なサンデーサイレンス産駒がそろっていたが、勝ったのは伏兵のウメノファイバーだった。父がサクラユタカオー、母の父はノーザンディクテイター。いかにも渋い血の背景を持つ馬が、きらびやかな良血馬をなで斬りにした。
 桜花賞で6着に敗れ、血統的にも長距離が向くとは思えなかったファイバーは7番人気の低評価だった。しかし、道中は後方でじっくり脚をためて、直線で一気に爆発させた。前を行く良血馬たち、そして粘るトゥザヴィクトリーをハナ差交わして樫の女王の座を手にした。

 人気のない気楽さもあったのかもしれないが、蛯名騎手の思い切りのいい見事な手綱さばきが光った。
 99年といえば、蛯名はエルコンドルパサーで凱旋門賞に挑戦し2着した年でもある。脂の乗った名手のギリギリまでロスをそぎ落とした好騎乗が、距離適性に疑問符のついていたファイバーに金星をもたらしたといってもいい。
 この一勝でその年の最優秀4歳牝馬(旧齢)に輝いたファイバーは、内国産種牡馬のエースとして一時代を築いたサクラユタカオーが晩年に送り出した最高傑作だった。その父が東京の天皇賞・秋を圧勝したように、「東京の血」はファイバーにも確実に脈打っていた。現実に京王杯3歳S(現2歳S)、クイーンC、そしてオークスと制した重賞はすべて東京だった。
 繁殖牝馬としては、まだこれといった産駒を送り出していないが、今年の2歳は父アグネスタキオンの牝馬。現役時代、ライバルとしてしのぎを削ったSSの血とブレンドされた仔が、どういう馬に成長するのか。来年の今ごろ、新緑の東京で躍動する姿を期待したい。

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