この女社長は、自分の事務所に所属している子どもの親に対して「ドラマに出演にするために、保証金300万円が必要」などと嘘を言い、そのうち120万円を騙し取っていた。この女社長は今年2月にも、市内の飲食店で無銭飲食したとして逮捕されており、金銭面でかなり苦労していたようである。
これまでにも、こうした芸能事務所をめぐるトラブルは多く発生しているが、そのほとんどは、芸能界の事情に詳しくない人たちを騙す手口だ。たいがい、芸能事務所に所属し、レッスンなどを受けるにあたって、数十万円という高額な入所金やレッスン費用が必要になってくる。騙す人たちは、芸能事務所に入るはそれなりに金がかかるのだ、という意識があるところにつけこんでくる。今回のように、保証金300万円と言われても、親たちは疑わずに払ってしまうのである。
いずれにしても、子どもを人質にとったような形で、高額な金を求めてくるようなところは、敬遠した方がよいかもしれない。こうした、人の持つ夢を食い物にする手口には、今後も注意を要するところだ。
(「悪徳商法記者」多田文明)