「自分に失望している」
セ界のセーブ王が袋小路に迷い込んでしまった。
この日、勝利すれば6年ぶりの日本シリーズ出場に王手をかけることになる巨人。6回、李承●(●は火へんに華)の3ランなどで逆転に成功し、1点差のまま9回へ突入した。
ここで、同点とされるも山口哲也、東野峻らが踏ん張り追加点を許さず。延長12回を終わって5-5で引き分けた。
CS規定により勝利数で並んだ場合、1位のチームが進出することになる。巨人は残り3戦のうち1試合勝てば日本シリーズに進出できる。圧倒的に優位になった。
去年、悪夢の3連敗(5回戦制)から一転、王手をかけたことになるが手放しでは喜べない。守護神クルーンが2度目の背信投球をしたからだ。
9回の先頭打者、第1戦で勝ち越しタイムリーを打たれている因縁の中村紀洋に投じた8球目。156キロの直球が左手首を直撃した。この1球で原監督はすぐさまクルーンを交代させた。
原監督は試合後、「クルーンを代えるのは大きな決断ですよ。勝つという判断において山口を選択した」と振り返った。今後の起用法については「役割は変わらない」とストッパー役を明言した。
だが、クルーンは落胆の表情を隠すことはできなかった。報道陣の問いかけにも首を横に振り、「(明日から)9回に万全の状態で臨めるようにする。でも、自分には失望している。致命的なミスになりかねないところを救ってもらった。感謝している」と元気なく語った。
“クルーンショック”は思わぬところにまで飛び火した。西山秀二バッテリーコーチは「意固地になっている。(サインに何度も首を振って)大人げないな。この前のこと(中村に打たれたタイムリー)を気にしてたのかな。もっと気楽に投げていい。今はプライドとか言ってる場合じゃない。我慢して戦ってもらわないと」と苦言を呈した。さらに「(試合後)本人とは会ってないから明日、話をしてみます」と話した。
トラウマになりかねないショックを受けたクルーン。この窮地を克服してこそ、守護神なのだが。