「普通に考えたら、オープン戦好調のネルソンか、中田(賢一)なんです。吉見の可能性もまだゼロになっていません。ひょっとしたら、全く別の投手が…」(ライバル球団スコアラー)
5日の対ヤクルト戦で、ネルソン(28)、中田賢一(28)の両候補が同日登板した。
まず、先発マウンドに上がったネルソンは「3回被安打1、無失点」。150キロ強の直球とスライダーのコンビネーションで5奪三振と結果を出した。2番手で登板した中田賢は2四死球と制球を乱す場面もあったが、「3回被安打2、2失点」と、投球内容を途中修正してみせた。
「1週間後の4月12日の開幕戦から逆算すると、今日(5日)か明日に投げる投手が開幕投手と見ていいでしょう」(前出・同)
同じ中6日の登板間隔を作るため、両候補を投げさせただけでも『陽動作戦』の効果は絶大だったが、ここに、翌6日登板の吉見の出来如何では、さらに開幕投手が読みにくくなる。在阪球団の職員がこう付け加える。
「3日の巨人との慈善試合で山内壮馬が好投しています。もともと力のある投手ですし、08年の大学・社会人ドラフトで1位指名されたエース候補です。山内が選ばれる可能性もゼロではない」
山内は昨季、プロ初勝利を含む2勝を挙げた成長株だ。“箔付け”で開幕投手の称号を与える可能性も捨てきれないという。
開幕投手といえば、本来なら『チームの顔』だ。調整の遅れているチェン・ウェイン(25)が間に合わないのであれば、多少の不調があっても、吉見で決まるはずだが、落合監督には04年、3年間一軍登板のなかった川崎憲次郎を送り込んだ『サプライズ』もある。その後、奇をてらったような投手起用はしていないが…。
「中田賢は開幕日が遅れたことで調子を落とした感も否めません。29日の合同実戦練習までは、オープン戦3試合で防御率0.54でした」(前出・ライバル球団スコアラー)
落合監督の強かさはネルソン、中田賢の両候補を同時登板させた5日だけではない。両候補は3月24日、29日も同日登板している。5日で3度目なのである。開幕カードでぶつかるヤクルトにすれば、「早く決めてくれ!」といった心境だろう。
「ヤクルトはオープン戦(実戦形式も含む)で打線が湿りがちなので、相手投手を絞り込んで対応策を打っておきたいところです。あと、巨人も中日の開幕投手を気にしていますよ。順調に行けば、巨人は5月中旬まで、中日の開幕カードから外れた先発投手と対戦することになります(4月22〜24日の巨人、中日ともに日程未定/5日時点)。中田賢、そして慈善試合で好投した山内を避けたいというのがホンネでは?」(前出・同)
中日以外の11球団は、開幕投手を明かしたのも同然の状態。チェン、吉見の出遅れでエース級の投手がいなくなったせいもあるが、日程問題やチーム事情を逆手に「対戦チームを混乱させている作戦」を繰り広げているのは、中日だけだ。
「落合監督にやられたよ…」
陽動作戦にはめられたセ5球団の偵察部隊は、首を傾げるだけ…。やっぱり、落合監督は凄い。