「11月7日、ボラス氏はGM会議に姿を現し、さっそく菊池を売り出し、『松坂の6年、年俸総額5200万ドルを超えるだろう』と吠えていました。パフォーマンスもあったと思いますが、西武はすでに菊池を売って得る譲渡金を見込んでいるようです。国内FA権を行使した浅村栄斗、炭谷銀仁朗の慰留交渉にそれを充てるらしい」(スポーツ紙記者)
ボラス氏は別の米球界情報でも注目されていた。
今オフ、ニューヨーク・メッツがブロディー・バンワゲネン氏を新GMに迎えた。しかし、そのバンワゲネン氏は現役の代理人で、メッツの投打の主軸選手を顧客に抱えていた。主軸バッターのヨエニス・セスペデスがそうで、元顧客には今季のサイ・ヤング賞候補、ジェイコブ・デグロムを筆頭に、複数の選手を抱えている。この状況に、米トップエージェントのボラス氏が噛みついたのである。
「44歳のバンワゲネン氏は米経済誌にも紹介された敏腕です。大谷翔平の代理人で有名になったネズ・バレロ氏と同じ『CAAスポーツ』に所属しています」(特派記者)
現役の代理人がGMに就任した前例はある。’14年のDバックスがそうだ。とはいえ、顧客と元顧客がいる球団に着任するのは初めてのケースとなる。大型契約を目指す代理人と予算内に収めたいGMは、目的が全く対照的なのだ。
「バンワゲネン氏は就任会見で、顧客と元顧客の交渉では席を外すと言っていましたが…。同じ『CAAスポーツ』の誰かがクライアント契約を引き継ぐことになります」(同)
ボラス氏は選手査定などの情報漏洩を危惧しており、米メディアの多くも氏の疑念に同調しているという。
「菊池の今回の米挑戦について、松坂、大谷のときのようなムーブメントは起きないでしょう。150キロを投げる20代の左腕は貴重です。でも、低めへの制球力はイマイチだし、クライマックスシリーズで敗れたように、精神面でのモロさも指摘されています。好投手たる根拠を、時間をかけ、いかに相手球団に理解させるかが、大型契約を勝ち取れるか否かの分かれ目になります」(球界関係者)
それだけではない。ポスティング・システムの要項がまた変わり、菊池は新制度適用の第1号となる。
簡単に説明すると、これまで上限2000万ドルと決まっていた譲渡金が、新制度では契約金の額で違ってくるのだ。契約金が2500万ドル(約28億円)以下なら、その金額の20%。2500万ドルから5000万ドル(約56億円)なら、その金額の17・5%、5000万ドル以上なら15%。つまり、契約金を多くブン取った分だけ、西武への実入りも多くなる。
「ボラス氏は松坂の代理人としてレッドソックスと交渉したとき、期限5分前までゴネて年俸や条件を吊り上げました。今回、米国の野球ファンは、メッツGMに反対するボラス氏の次の一手に期待しています」(前出・特派記者)
菊池の所属球団が決まるのは、いつになるか。