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広島を激震させた「プロ野球・ドーピング検査」の内幕

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 バティスタの離脱は、ペナントレース終了後にも影響しそうだ。

 去る8月17日、広島球団は、サビエル・バティスタ外野手(27)が、日本野球機構(以下=NPB)によるドーピング検査で陽性反応が出たことを発表した。記者団は確認を含めていくつか質問をしたが、「現時点で差し控える」と、球団は言葉を濁した。一軍試合登録も抹消した。バティスタには反論の機会が与えられ、証言を裏付けるための調査も行われるが、疑惑が晴れるまでは公式戦に出場することはできない。“潔白”だとしても、今季中の復帰は難しいだろう。

「首位・巨人とのゲーム差がなかなか縮まりません。口ではまだ優勝を諦めていませんが、悪くとも3位に滑り込めば、クライマックスシリーズで巨人を倒せると見ています。現に、広島は今年も巨人戦で大きく勝ち越していますから(12勝7敗1分け/同時点)」(球界関係者)

 緒方構想を狂わせたNPBのドーピング検査とは、どんなものなのか――。

 各メディアも伝えていたが、バティスタに陽性反応が出た検査実施日は6月上旬だという。約2カ月も経過してから通達された理由を調べてみると、その検査の実態が見えてきた。

 「全員が検査を受けるわけではありません。くじ引きをやって、各球団から2名ずつ、被験者が決められています」(関係者)

 検査日は選手には通達されない。球団スタッフには知らされているようだが、セ・パ6試合と二軍戦が行われている全球場に、NPBの調査チームが一斉に向かう。すると、選手控室に「検査実施」の張り紙が出され、試合終了後、その全てが終了するまで、全選手が帰宅できないルールになっているそうだ。

 「たとえば、巨人対広島戦の試合が行われている球場なら、両球団のフロント代表1名ずつがまず呼ばれます。誰が被験者になるのかは、調査チームの見ている前で、巨人が広島選手の背番号が書かれたくじを引き、広島が巨人選手の背番号が書かれたくじを引きます」(在京球団スタッフ)

 調査チームの見ている前で被験者となった選手は排尿し、それを専門の調査機関に持っていく。「見られている状態」で用を足すのだが、被験者は心理的な理由で「検査が可能となる量」を出せないそうだ。規定の量が出なかった場合、いったん集めた尿は捨てられ、やり直し。この一定量の尿を出すのにけっこうな時間がかかるとされ、その間、他の選手たちは控室から出てはいけないことになっているそうだ。

 「だいたい、2カ月に1度のペースで検査が課されています。くじ引きだから、1回も被験者にならずに現役を終えた選手もいれば、くじ運の悪い選手もいます」(前出・同)

 オリンピック選手の検査は、もっと厳しいという。6月上旬に行われた検査の結果が8月になって通達されたのは、専門機関がきちんと調べているからなのだ。

 かつてメジャーリーグでは選手が禁止薬物の力を使って、本塁打記録を塗り替えたこともあった。その後、自浄努力で社会的信頼を取り戻すまでに、それ相応の時間を要している。

「2カ月に1度」「被験者はくじ引き」と聞かされると生ぬるい感がしないでもないが、人気選手の疑惑はファンを失望させ、球場広告に出資した企業の撤退にもつながりかねない。広島の本拠地・マツダスタジアムに集まったファンは、潔白を信じているが…。(スポーツライター・飯山満)

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