魔裟斗が見据えるのはあくまで世界王座の奪還だけ。佐藤の存在など全く眼中にない。
これまでも事あるごとに挑発し合ってきた魔裟斗と佐藤。今年4月の開幕戦では魔裟斗が抹殺宣告を突きつけて、佐藤もこれに応戦。両者の遺恨は深まり、決着戦実現の機運は高まっていた。
この日、佐藤がブアカーオ・ポー・プラムックに大逆転でのKO勝利。一方、魔裟斗もドラゴの猛攻を完封して勝利。両者ともベスト4進出を決めたことで、ついに決着戦が実現する。
魔裟斗はドラゴ戦勝利直後のリング上から、リングサイドで見つめる佐藤に「ついに来たね。10月1日、ガチガチ打ち合っていきましょう」と挑発的に言い放った。佐藤も不敵な視線を返し、早くも両者の間には激しい火花が飛び交った。
しかし、それも魔裟斗にとってはリップサービスでしかなかった。インタビューでは「オレの目標はあくまで世界」「オレは絶対に2試合やんなきゃいけないんで」と佐藤の存在を完全に無視。5年ぶりの王座奪還を狙うカリスマは、佐藤戦をあくまで通過点としか捕らえていない。
魔裟斗の頭にあるのは去年決勝で敗れたサワーに借りを返すことだけ。ドラゴ戦でも「アンディ・サワー戦を想定できる感じでした。やっぱガードが固いから、あれをどう崩すかが課題。オランダ人は似てますよ。ローキックが効いても絶対前に来るし。そこをしつこく攻めるのも大事なんだなって」とサワーを意識して闘った。世界王座奪還を目指す魔裟斗の目に佐藤の存在が入るスキは微塵(みじん)もない。
今後は2週間の休暇を取った後、8月から1週間の予定で恒例の伊豆合宿に入る。魔裟斗の狙いは、あくまでも世界の頂点だ。