1943年10月28日、アメリカのペンシルバニア州フィラデルフィアにて、海軍が極秘実験を行った。強力な磁場発生装置を用いて駆逐艦エルドリッジを敵軍のレーダーに関知されないようにするというものだったのだが、装置によって発生した巨大な磁場に包まれたエルドリッジは、その場からかき消えてしまったのである。そして、およそ2500キロは離れたバージニア州ノーフォーク沖に出現。再び姿を消し、フィラデルフィアに戻ってきたというのである。
強力な磁場が空間を歪ませ、テレポートさせてしまったのだろうか?だが、エルドリッジに入った実験関係者の前に広がっていたのは恐ろしい光景であった。焼け焦げていたり、甲板や壁に体が埋まって船体と融合してしまっている者。中にはすっかり姿を消してしまった者も存在していたという。数少ない生存者は発狂しているものが殆どだった…。
これが第二次世界大戦後にアメリカで流れた都市伝説「フィラデルフィア実験」である。ネットで検索すると甲板から人間の手だけが突き出ている衝撃的な画像などを確認することができる。だが、これらの画像の大半は後年に作成されたイメージ画像だとされている。そして、フィラデルフィア実験のあった1943年、駆逐艦エルドリッジは一度もフィラデルフィアへ寄港したことがなかった。
恐らくフィラデルフィア実験は、磁気機雷から船を隠すために戦艦の磁気を消す「船体消磁実験」を誤解したものと、戦艦や駆逐艦が運河を通って秘密裏に移動しあたかもワープしていたかのように勘違いしたものから生まれたのではないかとみられている。
文:和田大輔 取材:山口敏太郎事務所