事件現場となったアパートの一室は、占い師をしていたAさんが仕事場として3年前から利用していたという。事件当日も午前9時頃から現場で仕事をしており、午後3時頃には、女性客がAさんの仕事場に占いを依頼する電話を掛けたことが警察の調べで確認されている。
しかし、午後5時45分過ぎにAさんの長女が仕事場を訪ねたところ、玄関には大量の血痕が残されていたという。血の跡を長女が辿ると、首を切られ大量の血を流しているAさんを風呂場で発見。すぐに長女は警察に通報したが、警察官が駆け付けた時には既にAさんは死亡していた。
誰がAさんを襲ったのだろうか。警察の現場検証の結果、Aさんの仕事場からは現金などが奪われた形跡が見られなかったという。この事から警察は物取りによる犯行ではなく、怨恨による犯行と推定し、Aさんの人間関係の洗い出しが行われた。しかし、目ぼしい証拠は見つからず、容疑者像も浮かばないまま時間だけが過ぎていった。結局、2019年12月現在も犯人を捕まえることは出来ていない。
怨恨による犯行が疑われたこの事件。Aさんの職業柄、客とのトラブルを疑う声も上がったが、実はAさんが殺害される約1年前にも同じ商店街で殺人事件が発生していた。一部の地元住民の中には関連性を疑う声もあったという。
1997年6月21日、東京都豊島区で飲食店を営む当時70歳の女性Bさんが何者かに殺害される事件が発生した。現場には売上金、預金通帳が残されていたままの状態だったことから、警察は怨恨による犯行を疑ったそうだ。
しかし、Bさんの知人、客からも有力な手掛かりは掴めず、2019年12月現在も犯人は捕まっていない。
AさんとBさんの事件に関連性があるとすれば、犯人は単なる怨恨ではない可能性も考えられる。豊島区で客商売を営む二人を狙った殺人犯は、一体何が目的だったのだろうか。