記念艦「三笠」は、関東大震災で船底に損傷を受け浸水した。1926年から現在と同じ場所にある。イギリスの「ヴィクトリー号」、アメリカの「コンスティチューション号」ととにも、世界の三大記念艦として知られている。
「三笠」は、日本とロシアが砲弾を交えた日本海海戦の3年前、1902年に、イギリスのヴィッカース社の造船所で完成した。造船所があるバロー・イン・ファーネス市には、三笠から名前をとった「三笠通り」がある。記念艦「三笠」は、1992年には、国際的事業として行われている海事遺産賞を受賞した。
記念艦「三笠」では、主砲や艦橋がある上甲板と、副砲や司令長官公室がある中甲板を公開している。
艦橋上部に、最上甲板がある。最上甲板から、海を見渡すことができる。後ろにはマストがあり、黒、黄、青、赤の4色からなる「Z旗」が掲げられている。日本海海戦時には、「Z旗」を単独で揚げることにより、「皇国の興廃この一戦にあり、各員一層奮励努力せよ」を意味した。
その最上甲板の床板に、4つのプレートがある。東郷平八郎司令長官、加藤友三郎参謀長、伊地知彦次郎艦長、秋山真之参謀が、日本海海戦の時に、それぞれ立っていた場所を表している。波が高ければ、水しぶきは最上甲板まで飛んできたという。
中甲板では、司令長官が密封された命令書を開くなどする司令長官公室や、「坂の上の雲」第1部で清国の戦艦「定遠」の艦内としてロケに使われた副砲2番砲室などを見学することができる。2番砲室では、ロケの際はいったん場所を移したが、ロケ終了後に再び戻された実物大の人形4体や、音声や、パネルを使って、砲員の動きを展示している。
記念艦「三笠」艦内では、2010年10月24日から2011年3月21日まで、「特別展・日露戦争に見る武士道」『The Soul of Japan』が開催されている。知名な人物である広瀬武夫中佐の柔道着などが展示されている。
(竹内みちまろ/取材協力・三笠保存会)