search
とじる
トップ > トレンド > 落語を本からお勉強

落語を本からお勉強

 落語ブームが続いている。落語がキターッ! のは、2008年春のNHK朝の連ドラ「ちりとてちん」あたりからだが、その前座役を務めたのはTVドラマ「タイガー&ドラゴン」(2005年)、映画「しゃべれどもしゃべれども」(07年)。えっ、マクラが長い? あーた、通ですな。てなわけで、年始は一杯やりながら、落語をじっくりお勉強してみてはと紹介するのが、その歴史から今日までが分かる3冊。そろって、CDかDVDのオマケが付いているから今夜はおひとつ、寄席の雰囲気も味わえる寸法でして…。

 長瀬智也と岡田准一のジャニーズコンビが、落語家の泣き笑い修行を演じたのが「タイガー&ドラゴン」。ふたりに加えて脇を固めたのが、西田敏行と笑福亭鶴瓶。脚本が宮藤官九郎とあってはおもしろくないわけがなかった。映画「しゃべれどもしゃべれども」の主演は、これまたジャニーズの国文太一。その名演技には映画賞が贈られた。
 そして、「ちりとてちん」。おっちょこちょいの女流落語家役に扮した貫地谷しほりは、その後女優としての地位を固めることになる。師匠役、渡哲也の噺っぷりが援護射撃になったのを忘れてはいけない。
 …長ーいマクラを振ってしまったが、紹介するのは落語入門書、ちったぁ知ってる人向け、通のおさらい用と取りそろえてみた。
 ズバリ、「落語入門」(渡邉寧久監修、成美堂出版、税込み1365円)は、まずは落語の歴史を年表で紹介する、受験参考書っぽい作りが悪くない。明治時代の隆盛ぶりに、協会の分裂騒動など離合集散を明かしているのは、落語検定ができたら受けたい人のため? 名人候補のひとりに上げられる立川志の輔が落語の魅力を語り、名作解説と昭和・平成の名人紹介と続く。入門書とあるが、正座してかからないといけない本格の作り。その流れか、付録のCDは志ん生の2話。「火焔太鼓」「文七元結」ときては、膝をただして拝聴だ。
 「落語のすべて」(大友浩監修、西東社、1785円)のサブタイトルは“もう一度学びたい”。寄席の楽しみ方を写真で紹介するなど、初心者にはこっちが向きか。圧巻は70人を超える名人上手のエピソードを交えた解説。演芸研究家の監修者ならではのこだわりか。付録のDVD。柳家権太郎「くしゃみ講釈」と桃月庵白酒「転宅」の2話収録だ。
 3冊目のトリは、「落語への招待」(別冊歴史読本、新人物往来社、1890円)。こちらの副題は“「入門者」から「通」までたっぷり楽しめる”と大風呂敷を広げている。売りは志ん生の巻頭特別エッセー「お化け長屋は楽しき哉」。発掘原稿で、希代の名人の貧乏自慢がまんま落語的。知ってた人も初めての人も、そのアッケラカンっぷりに脱帽するしかない。三平、談志に志ん朝らの粋が語られ、小沢昭一の対談もある。付録のCDは古今亭駿菊の「湯屋番」と「宗の瀧」。
 雑誌が特集を組み、テレビCMでおなじみ、♪ディアゴスティーニから、落語ものが出るなど落語ブームはまだ当分、続きそうだ。海苔をくれ…じゃなかった、乗り遅れないように、ね。

関連記事

関連画像

もっと見る


トレンド→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

トレンド→

もっと見る→

注目タグ