大手ビールメーカーのサッポロビールは3月19日、営業部門の課長級の男性社員(45=懲戒免職)が、会社のカネ約1億3000万円を着服していたことを発表した。
同日付で、同社は男性を懲戒免職処分とし、業務上横領の疑いで警視庁渋谷署に刑事告訴した。
同社によると、昨年12月、東京国税局から「不審な取引がある」と指摘を受けて調べたところ、男性が着服を認めた。外部の専門家の指導を得ながら社内調査を進めた結果、不正流用額は合計約1億3000万円であることが明らかになった。男性はカネを趣味などの遊興費に充てていた。
男性は06年12月から今年1月にかけ、ビールの販売促進のために使うことがある商品券を自ら外部業者に発注。自分の手元に商品券を納品させ、それを金券ショップで換金して、現金を手にしていた。
外部業者には商品券でなく、ビールグラスやおつまみなどの景品を発注したと偽らせ、サッポロビールに請求させていた。外部業者は「社員の指示通りに動いただけ」と関与を否定している。
同社内には、実際に景品などが取引先に届いたかをチェックする仕組みがなく、着服に気付かなかったという。
同社では「極めて遺憾であり、お客様をはじめ、関係者の皆様に多大なるご迷惑並びにご心配をおかけしますことを深くお詫び申し上げます」とコメントするとともに、「管理体制を一層強化し、再発防止の徹底に努めてまいります」としている。
それにしても、男性が取った手口は、かなり悪質で巧妙なもので、許されることではない。クビになって当然の結果だろう。
しかし、実に6年間も私的流用されながら、東京国税局から指摘されるまで、気付かなかった同社の経理管理体制にも大いに問題があったのではなかろうか。
(蔵元英二)