今大会の開催国であるロシアと、2006年ドイツ大会以来のW杯出場となるサウジアラビアが顔を合わせた開幕戦。オープニングゲームからいきなりの登場となった地元ロシアであったが、前半12分にCKのこぼれ球を受けたMFジルコフのクロスに、MFガジンスキーが頭で合わせ先制。スタジアムに詰めかけたロシア国民も大歓声の、今大会ファーストゴールで幸先のいい立ち上がりを見せた。
前半25分にMFジャゴエフがまさかの負傷退場となったものの、前半43分にはそのジャゴエフと交代でピッチに入ったMFチェリシェフが追加点を挙げたロシア。サウジアラビアに対し前半で2点リードと、理想的な形で後半に入ることに成功した。
迎えた後半も26分に途中出場のFWジュバが3点目を奪うと、46分にはチェリシェフが2ゴール目となる4点目を、そして48分にはMFゴロヴィンがFKでダメ押しの5点目を奪うなど躍動したロシア。スコア5‐0となった試合にホイッスルが吹かれた瞬間、78,011人の観客で埋まった会場は一段と大きな歓声に包まれていた。
国民の期待に応える戦いぶりを見せ、自国開催のオープニングゲームを見事白星で飾ったロシア。グループリーグ突破に向けた貴重な勝ち点3をゲットした今回の試合だが、これはW杯における、とある“ジンクス”を立証する試合ともなっている。
過去の大会において、大会開催国が開幕戦を戦った例は9度あるのだが、この9試合の中で開催国が敗戦を喫した例は1つも無い(6勝3分)。今回のロシアの勝利により、このジンクスはまたその信ぴょう性を高めることになった。
出場32か国中最下位となるFIFAランキング(70位)であることから、“今大会最弱国”という見方もされていたロシア。ただ、ジンクス通りに開幕戦を勝利したことで、そのレッテルはいくらか剥がされたのかもしれない。
文 / 柴田雅人