キン肉万太郎はゆでたまごの漫画「キン肉マンII世」の主人公で、一度だけ、現実の世界に舞い下りたことがある。
08年大みそか「Dynamite!!」(FEG主催)で、DJ OZMAプロデュースとして、キン肉万太郎は登場。ボブ・サップと総合ルールで対戦し、TKO負けした。
そのキン肉万太郎の正体と目されるSRC育成選手の田中章仁(27)が、パンクラス2・6ディファ有明大会で福田雄平を相手にデビュー戦を行なう。
田中は01〜07年の全日本レスリング選手権(天皇杯)を7連覇したアマレスの猛者。専修大卒業後、同大学の先輩である元プロレスラーの馳浩氏(現衆議院議員)の仲介で、05年4月にK-1運営会社のFEGに入社。アマレスと並行し、総合格闘技の練習を積んだ。08年大みそかに現れたキン肉万太郎のプロフィールが、田中の経歴と酷似していたことから、正体はバレバレだった。
その後、田中は昨年4月にFEGを退社。同年6月のSRC育成選手のトライアウトに合格。7月からSRC本部道場で、レスリングのコーチを務める傍ら、総合デビューに備えてきた。
何かにつけて、キン肉万太郎としてのキャリアが付きまとってきたのは本意ではなかっただろう。FEG入社から苦節6年。アマレスでは抜群の実績をもちながらも、デビューが遅れていた田中に、ようやく春が訪れた。プロの世界でチャンスをつかむかどうかは、己次第だ。
(ジャーナリスト/落合一郎)