意外なタフガイぶりをまざまざと見せつけたのは、朝青龍関へ総理大臣杯を授与するシーンだった。やせ形なのにほぼ自力で純銀製の杯を抱えあげ、大きくよろめくこともなく無事手渡した。歴代首相の中でも直接手渡したのは「感動したっ」の小泉元首相や、漢字読み飛ばしの麻生前首相ら5人だけ。強行日程を組んだ外遊からの帰国直後にもかかわらず、首相は両国に駆け付け6人目となった。
永田町関係者は「よくぞまあ、あの細い体で重い総理大臣杯を持ち上げたものだ。大リーグの始球式でも捕手の手前でワンバウンドになったとはいえ、体重を乗せた力強い投球だった。学者肌の首相なのに、意外とスポーツ好きで体力があるので驚いた」と感心する。
幸夫人(66)と連れ添って国技館に現れた首相は、観衆からの「鳩山さ〜ん」「ユキオ〜」などの呼び掛けに手を振って応え、優勝決定戦までもつれこんだ取り組みを堪能。この日は朝青龍の29歳の誕生日だったため、首相は土俵上で表彰状を読み上げた後「今日は朝青龍関のお誕生日とうかがっている。おめでとうございます」と祝福し、観衆を沸かせた。夜ごはんは、国技館近くのちゃんこ料理店「巴潟」で幸夫人らと鍋を囲んで力をつけている。
ちゃんこでスタミナ増強した裏事情として、まだまだ続くハードスケジュールがある。首相は27日午後、官邸で平野博文官房長官に、10月2日にコペンハーゲンで開かれるIOC総会に出席するため、日程調整するよう指示。しかも1日夜出発、3日に帰国する「1泊3日」の強行日程を軸に検討するというから、まるで“弾丸ツアー”だ。
総会は、2016年夏季五輪開催地を決める最終バトル。東京とシカゴ、リオデジャネイロ、マドリードの4都市による激戦となっており、招致に向けたアピールのため石原慎太郎都知事らがすでに現地入りし、首相の助太刀を待っている。
さらに政府は27日、鳩山首相が来月9日に韓国を訪問し、李明博大統領と首脳会談を行う検討にも入っている。
同10日には北京で日中韓首脳会談が行われる予定だ。