『ちびまる子ちゃん』は、さくらももこによる自伝的なエッセイ漫画作品である。親友のたまちゃんや、陰気な永沢くん、お金持ちの花輪くん、サッカー少年のケンタなど、作中の登場人物の多くにはモデルが存在する。
「まる子の親友のたまちゃんは、作品だと中流家庭の設定ですが、実際はかなりのお金持ちだったそうです。おしとやかなキャラクターのたまちゃんですが、実際の彼女はクラスのリーダー的な存在だったようですね。同じく花輪くんのモデルも、お金持ちだった同級生の人物がモデルになっています。サッカー少年のケンタは、清水エスパルスなどでサッカー選手、監督として活躍した長谷川健太です。さくらとは、小学校5〜6年生で同級生だったようですが、長谷川は彼女のことをまったく覚えていないようです」(サブカルチャーに詳しいフリーライター)
『ちびまる子ちゃん』は作者の実体験をそのまま描いているわけではない。それは家族の描写にも現れている。
「父親のひろしは働いている様子がなく、職業不詳な人物として描かれていますが、実家は八百屋をやっており、会社員としての父親の姿がイメージできないため、あのようになりました。さらに、友蔵おじいさんは孫思いで優しいキャラですが、実際のおじいさんは頑固者で意地悪な人物だったそうです。友蔵おじいさんは、こうしたおじいさんが欲しかったという作者の願望が投影されているのです」(前出・同)
『ちびまる子ちゃん』の世界は誰も傷つけることがない。それゆえに、通常なら大問題となりかねない「Wおばあちゃん」も、ほのぼのとした扱いとなったのかもしれない。