こういったパラレルワールドとしての地下世界、「地球内部に『もう一つの地球』とも呼べる大地があり、そこには居住可能な空間や異なる知的生命体すら存在する」という説を称して『地球空洞説』と呼ぶ。この説を初めに提唱したのはイギリスの天文学者、エドモンド・ハレー。かのハレー彗星の軌道計算を行い、「彗星は一定周期で太陽系を公転している」事を証明した人物である。彼はこの説で「地球内部は明るく、おそらくは居住可能である」、さらに「そこから逃げてくる発光性ガスによって、揺らめくオーロラが生じる」と称えた。他にも、「オイラーの公式」等で知られるスイスの数学者レオンハルト・オイラーが「地球内部の高度な文明を照らす、一個の内部太陽」を仮定している。
これらの『地球空洞説』はしばらくの間、SF小説の舞台としてよくとりあげられたモチーフだったが、20世紀になってにわかに活気づく。1968年、アメリカの気象衛星『ESSA-7』が写した一枚の衛星画像に映った『北極に開いた大きな穴』の画像だった。だが、数十年も過ぎた現在では、あの『穴』の正体は極地方の長い夜とカメラアングルの結果で北極上空をカバーできなかったために起きた『撮影ミス』だったという説が有力視されている。
それでは、21世紀となった現在、この説が忘れ去られてしまったのかというと、実はそうでもない。未だにこの説を研究し続けている科学者も多くいる。アメリカはスタンフォード大の物理学者によると、宇宙を創造したと言われる『ビッグバン理論』より考えられる仮説的な宇宙の数を計算した結果、惑星にはその内部にもう一つの大地、パラレルワールドを内包する可能性が高いというのだ。勿論それは、我々の住む地球にも当てはまる。
かねてより、UFOは地下世界の住人の乗り物で、極地方に開いたワームホールより出入りしているのだ、という説があった。今回の理論は、それを裏付けているようで興味深い。
(山口敏太郎事務所)
写真:ユーチューブから(http://www.youtube.com/watch?v=MZ7XuWYRgdw)