オリックス7勝5敗
オリックス対北海道日本ハムの12回戦が京セラドーム大阪で行われ、オリックス大卒3年目の左腕、山崎福也がプロ初完封勝利を飾った。
5月26日の千葉ロッテ戦(ZOZOマリン)以来の一軍登板となった山崎福は、初回から制球に苦しみ、日本ハム先頭の西川に中前打を許すと、続く松本に四球。いきなり無死1、2塁のピンチを迎える。このときの心境を「ヤベェなと思いました」と試合後に話していたが、続く中田を得意のカーブで三振に仕留めると、レアードを左飛、大谷を遊ゴロに打ち取り、ピンチを乗り切った。
その裏、先頭の駿太が中前打で塁に出ると、9日に復帰したばかりの吉田正尚が、ライト5階席へ第1号特大弾、続くロメロもレフトスタンドへ15号となる連続本塁打を放ち、オリックスが3点先制。山崎福は2回も先頭の岡に二塁打を許すなど、不安定な立ち上がりが続いていたが、3回からセットポジションに切り替えて「しっくりきた」こともあり、緩急を使った投球で3回から6回までは被安打0。7回と8回のピンチも気迫のピッチングで日本ハム打線をねじ伏せた。
山崎福の力投に応えるかのようにオリックス打線は、日本ハムのエラーなども重なり11点の大量援護。これまで山崎福の最多投球回数は7回、最多投球数は122球で、8回終了時点で既に128球に達しており、福良淳一監督も「ベンチから見ていると肩で息をしている感じに見えた」ため、本人に「もう無理やろ?」と確認したそうだが、負けず嫌いな山崎福は「行きます!」と即答。ファンの大声援を受けながらプロ初完封がかかった最終回のマウンドにあがり、見事三者凡退で試合を締めた。138球、被安打7、奪三振8、与四球1の完封劇に京セラドームは歓喜の嵐に包まれた。今季先発初勝利の山崎福は2勝目(1敗)。オリックスは2連勝。
福良監督はきょうにも1回山崎福を登録抹消すると明言したが、オールスター明けの後半戦の先発ローテーションに、松葉貴大に続く2枚目の左腕として山崎福が加わるのは確実で、吉田正の復帰もあり、クライマックスシリーズ出場に向けて勢いを増しているチームにとっては大きな一勝となった。
■福良監督のコメント
「サチ(山崎福)は初回が不安定で、どうなるかと思ったんですけどね。初回は久しぶりだったから緊張があったのかな。2回以降はとにかく打たれてもいいから初球はストライクを取れと(言った)。どうしてもボール先行が目立ちましたからね。(7回が終わった後に監督が山崎福と話して笑う場面があったが?)ベンチから見てたらボールがいっぱいいっぱいだったんですけどね(笑)。本人がどうしても行きたいって行かせてくれと言うので。9回のときも確認したんですけどね。(監督はどんな言葉をかけられたんですか?)もう無理やろ?って(笑)。点差もあったし、なかなか(完封する)チャンスもないですからね。最後は肩で息する感じでしたから、へばったんじゃないですかね。でも良かったですよ。(きょうは)初回の3点が大きかったですね。(吉田)正尚が3番に入ったら、(小谷野)栄一も5番で勝負強さを発揮できるというのがあるから、全然違うと思います。(吉田正を6回に下げたのは大事をとって?)それはありますね。久しぶりの守備というところもあって。(山崎福は1回登録抹消しますか?)1回抹消します。ありがとうございました」
■プロ初完封勝利の2勝目
山崎福也のコメント
「(監督に最後まで無理じゃないかと話されたそうですが?)『行けるか?』というのがマイナスの意味の…(笑)。自分は行きたいですって言いました。野手があれだけ打ってくれたので、感謝してます。(完封を意識したのは何回頃?)8回終わってからですね。それまでは全然なかったです。(立ち上がりのピンチはどんな思いだった?)ヤベェなって(笑)。これはマズイなって思ったんですけど、セットポジションにしてからしっくり来たんで、これなら大丈夫かなという確信はありました。(前回の降板後、試合中に千葉から大阪に帰らせられたわけですが、それからどんな思いだった?)いやー、もう一軍に上がれないんじゃないかという不安もありましたし、悔しさもありました。すぐ前向きにはなれなかったですね。でも日々練習してファームで結果を残していく中で、自信というか前向きな気持ちになりました。今回のチャンスはプレッシャーより、見返してやろうと思っていたので、きょうこうやって完封ができて、無茶苦茶うれしいです。問題はこれからなんで、今後もしっかりと試合を作っていきます」
■1回、1死2塁からライト5階席へ飛び込む今季第1号先制2ラン
吉田正尚のコメント
「完璧です!甘く来たストレートをしっかりと振り切ることができました。なんとか1本目が欲しかったので、出てよかったですし、なにより先制することができてよかったです!」
■1回、レフトスタンドへ15号ソロ本塁打
ステフェン・ロメロのコメント
「打ったのはカーブ。正尚のホームランを見て興奮したし、自分も同じことがしたいと思ったからね。少し先だったけど、ホームランになってくれてよかったよ!」
■3回、1死満塁からライトフェンス直撃の2点タイムリーヒット
クリス・マレーロのコメント
「高めのストレートをいい感じで打ち返すことができたよ。チャンスだったし、なんとかランナーをかえしたいと思っていたので、タイムリーになってくれてよかったよ!」
取材・文/どら増田(オリックス番ライター)