ワーストといえば、今季は球団初の13連敗も喫している。しかも、今季の対広島戦の成績は1勝10敗。「ここまで大差がつくものか?」と疑いたくなるような数字である。
同日午前中、広島は台風の影響で大雨。試合開始直前には青空が広がったが、高橋由伸監督(42)は、「午前中のうちに試合中止を決めてほしかった」とも考えたのではないだろうか。
「ここ5試合で17打数1安打のマギーをスタメンから外し、エースの菅野にも前回登板時から中4日で7月5日の広島2戦目に投げさせることも伝えていました。高橋監督はここで勝ち越さなければ、今季のAクラス入りもヤバイと思っていたようです」(プロ野球解説者)
先発・田口麗斗(21)の好投が大きかった。対広島戦で、ようやく2勝目。繰り返しになるが、いくら不振でもここまで大差がつくほど、巨人と広島の戦力差はないはずだ。
「一時期、『配球パターンを読まれているんじゃないか!?』と、巨人ベンチが疑心暗鬼になっていた時期もあります」(球界関係者)
どのチームも、対戦相手の戦力を分析するスコアラーがいる。広島にはデータ収集、解析をする主要スコアラーは6人で、他球団に比べると、むしろ少ないほうだ。昨季、その6人が、巨人を含めた全球団からの勝ち越しを決め、球団記録となるシーズン89勝を挙げる「影の立役者」となった。
かといって、広島が特別優秀なスコアラーを抱えているといった話は聞かれない。どの球団にも熱心なスコアラーはいる。巨人ベンチが疑心暗鬼に陥るほどの成果を挙げた理由だが、それは、広島ベンチの「データの使い方」にあるのではないだろうか。
緒方孝市監督(48)は午前10時には球場入りする。そして、対戦チーム担当のスコアラーと約1時間、個別ミーティングをし、午後1時過ぎにコーチ陣も同席させ、改めて、スコアラーによる解析データを聞く。スコアラーはレギュラー選手にもアドバイスを送り、午後4時には『バッテリーミーティング』も行う。こちらは時間にして20分程度だが、スコアラーが一方的に喋るのではなく、投手、捕手が“肌で感じた”対戦チームの感想、前日の情報を発言する。ともに意見を出し合って、攻略法を練り上げるといった感じになるそうだ。
データは重要だが、傾倒しすぎるのは良くない。広島はデータを「野球」について話し合う材料に変えているようだ。
昨季、巨人戦でマジックナンバーが点灯し、巨人戦で胴上げが決まった。今季も独走態勢が固まりつつあるが、それを“後方支援”したのは、対戦12試合で10個も勝ち星を献上した巨人にほかならない。
このまま広島が独走してしまうようでは、面白くない。巨人は「補強がどうの」と敗因のあら探しをするよりも、「試合にどう臨むべきか」を見直すべきだろう。
(スポーツライター・飯山満)