事故は2015年5月に発生。女の運転する車が赤信号を無視して進入すると、青信号のため横断歩道を渡っていた人を次々と跳ね、当時31歳の主婦を脳挫傷で死亡させた。青信号を横断するなんの罪もない人々を殺傷した罪は非常に重く、遺族の無念も相当なものがあったと思われる。
1審の静岡地裁浜松支部の裁判員裁判で、被告側は統合失調症による心神喪失を主張。判決は殺意や完全責任能力を認め、懲役8年を言い渡していた。29日の控訴審判決で、朝山芳史裁判長は、一審の判決を全面的に破棄し、「事故当日、統合失調症の症状が悪化した状態にあった」「行為に一貫性がなく理解不能な興奮状態だった」などとして、心神喪失状態を認定し、逆転無罪を言い渡した。
この判決に、ネットユーザーからは「遺族が浮かばれない。心神喪失だから無罪というのは法律が間違っている」「車に乗っている時点で交通ルールを守る責任を負う。心神喪失なら車に乗れないはずだ」「それなら刑事責任のない病気持ちは免許を剥奪するべきだ」と怒りの声が上がる。
また、一審の裁判員裁判を簡単に覆したことについても、「裁判長は裁判員裁判を軽視している」「とんでもない判決。検察は即刻上告してもらいたい」「中国籍だから無罪にしたのだと疑いたくなる」など、苦言を呈す声が相次ぐ。一方で、「感情に流されない判決」「判例を見れば当然」という声もあった。
「統合失調症の人物が自動車に乗り事故を起こしても無罪」という印象すら持ってしまう今回の判決。一審の裁判員の総意で決めた判決を簡単に覆してしまうことに疑問を持つ人は多く、なによりも事故で亡くなった遺族の感情を無視していると言わざるを得ない。
検察には然るべき措置を取ってもらいたいものである。